社会人経験を経て、フランスの大学院で勉強するまで(1)【人文学編】

Bonjour à toutes et à tous ! パリパリマセマセのたーしーです。

今でこそフランスの大学院で文学の勉強ができていますが、ここに来るまで自分は結構回り道しちゃったなと思っています。学部を卒業してから社会人として会社で働き、日本の大学院に戻り、フランスの大学院に行く、というのは文学系ではあまり多くないです(文学系は、だいたいストレートに進学していくので)。

でもその回り道って悪いことばかりではないのかなと最近は感じています。今日は、サラリーマンとしての社会人経験を経てから、フランスの大学院で勉強することになるまでを簡単に振り返ってみました。

社会人をやっていて良かったこと・悪かったこと

まず私は学部卒業後に二年半の社会人経験があります。当時は辛い経験だとばかり思っていましたが、今振り返るとそれ以上に、この期間で本当に色々なことを勉強できたなと。

だから、社会人をやっているけどいつか大学院に戻るんだ! という人に言いたいのは、今の時間は決して無駄ではないということです。社会人をやっていて良かったこと、悪かったことは以下の通りです。

良かったこと

社交的になる(コミュ障が治る)

このメリットだけでお釣りがきます。学部時代を振り返ると本当に痛い性格(ディレッタントとかスノッブとかそういう言葉で形容される自分をどこか誇らしく思うような性格)だったのですが、そんなのは入社した会社では通用しませんでした。

社会人となると会社の外でも中でも人付き合いは必至でした。取引先でプレゼンしたり、社内チームで企画・制作したりと苦手だったコミュニケーションを少しずつ学ぶことができました。

そりゃ中には嫌な人もいましたが、それでも比較的同僚にも恵まれていて、内に閉じこもりがちな私を引きずり出してくれた彼らには感謝したいです。

ビジネスの基本的なマナー、ルールが身につく

たとえば挨拶をするとか、締切を守るとか、メールの返信をするとか……社会人の新人研修で教わるようなことは大学で学べません。

……というと胡散臭いマナー講師みたいですが、私はこういうことの大切さを働きながら覚えていったので社会人やっていて良かったかなと思います。

お金・時間に対してシビアになる

もともと予算に対する工数管理にうるさい会社で働いていたので、そういう感覚が身についたのかなと思います。今だったら、たとえば、何時間で何文字書いたからどれくらいのパフォーマンスだ、とかそういうのを意識してしまいます(良くも悪くもですが)。

たしかに人文学の研究を成果主義で語ることに問題がないとは全く思いません。しかし、業績がないと人は評価、納得してくれないんですよね。こういうことに対してある程度の理解を示せるようになったのも社会人をやっていたからかもしれません。

誰でも彼でも、好きだからという理由でお望みの仕事に就けませんよね。その辺りのギャップに苦悩する大学院生も少なくないのですが、私は「それが人生だよな」と悩みこむのを止めて研究に戻ることにしています。

自分の関心が絶対だ! という思いが相対化される

社会人になると、あらゆることに対して会社の利益を優先せねばなりません。ですので自分の関心に即して仕事をするなんてことができるのは稀です。そういう経験を経ると、自分が興味ないことをやらねばならないときや、何か嫌だなということをやるときに、「まあ仕方ないな。これが社会だ」と諦めることができます。

これはネガティヴなようにも見えますが、物事を円滑にすすめるためには必要なスキルだと私は思います。

しかし、やはり諸刃の剣とも言えます。なぜなら研究とはそもそも自分の強い(そしてある意味で無償の)関心なしに成し遂げられる仕事ではないからです。この辺は上手くバランスを取る必要がありますね。でも、社会人を経てまで大学で研究したい人には少なからず熱量があるのではないでしょうか!?

悪かったこと

歳を取る

これに尽きます。歳を取ることのデメリットは大きく2つあります。

周りが就職していく中で取り残されているように感じる心理的不安

たとえば、社会人として3年働いたとしましょう。すると、学部を同じ年に卒業した人と比べて、自分は3年間遅れて大学院に入ることになります。つまり、自分が修士課程に入る時、周りの元同期は博士課程2年目に入るということです。したがって自分が博士課程に入る頃には、同い年の人たちは既に博士論文がまとまってきているということになるのです。

これは結構、心理的にきます。具体的には「周りは就職していくのに自分は……」と落ち込んでしまう恐れがあります。よく考えるまでもなく当然なんですけどね。自分が社会人をしているときに、彼らは一所懸命研究に打ち込んでいるんですから。

社会人から大学院に戻るにあたっては、周りの目を気にしない精神力をもって不安に打ち勝つ必要があると思います。

奨学金に申し込めなくなるという金銭的不安

奨学金によっては年齢制限があります。たとえば私は幸運にももらえたフランス政府給費留学生奨学金は30歳が年齢制限です。

大学院で勉強するための金策として奨学金は不可欠なので、年齢というハンディキャップは痛いかもしれません。

まとめ

以上、社会人経験を経て、フランスの大学院で勉強することについて書いてみました。次は大学院に戻ってからの生活について(留学計画や金策について)書けたらなと思っています

さっきも書いたことですが、当時は辛くても今思うと結構楽しかったなというのが社会人時代でした。たしかに興味のないことをやるのが苦痛なときもありますが、そこから学べることもあるはずです。

最後に、もし社会人をやっていてまた大学院にで勉強したいんだ! という方がいたら、その方に自信をもって伝えたいです。

今やっている仕事は大学に戻ってもどこかで必ず役に立ちます! 社会人経験が無駄になることはないのでご安心を!!

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たーしー

パリの大学で20世紀フランス文学(特に前衛詩)を研究しているクマ。フランスの時事、大学、奨学金、文学、レストランについての情報を中心にお届け。