【フランス語】”ありがとう”の « Merci de » と « Merci pour » の違いって?
- 2021/01/15
- フランス語勉強
ボンジュール! パリパリマセマセのたーしーです。
たとえばメールを締めくくるとき、日本語だとよく「よろしくお願いします」と書きますよね。フランス語の場合、「〜〜してくれてありがとうございます(と先に言っておきます)」という意味で、« Merci 〜〜 » を使うことが多いです。そうでなくとも、スーパーで、本屋で、大学で、職場で、友達の家で、« Merci ! » という機会は非情に多いですよね。
このとき、少し迷うのが Merci につづく前置詞。すなわち、 « de » を使うべきか « pour » を使うべきかという点です。今回はそんな « Merci de » と « Merci pour » の違いについて書いています!
そもそもアカデミー・フランセーズの見解は?
実は、アカデミー・フランセーズがこの点について決断を下していないので、 « Merci de » か « Merci pour » という選択は発話者の自由な選択に委ねられているのです! ですので、基本的にはどちらでもOKなんですね。安心しました。
しかし、それでもいくつかのルールとニュアンスの問題があるので覚えておきたいところです。
« Merci de » を使う場合
動詞の原形が続く場合は、かならず « Merci de » になる
まず、重要なのは « Merci » のあとには動詞も名詞も続くことが可能だということ。ただし、 Merci のあとに動詞の原形が続く場合は、かならず « Merci de » になります。
Merci de m’écouter. 私の言うことを聞いてくれてありがとう。
Merci d’avoir pensé à nous. 私達のことを考えて〔=思い出して〕くれてありがとう。
« Merci de » のほうが丁寧で格式高い言い回し
ジロデという辞書編纂学者は、« Merci de » のほうが « Merci pour » よりも格式高い(soutenu)な言い回しだとみなしています。ですので、御礼を伝える相手によって、 « de » と « pour » を使い分けてもいいかもしれません。
« Merci pour » を使う場合
« Merci pour » のあとには名詞が続きます。
Merci pour votre invitation. お誘いありがとう。
先程書いたように、動詞が続く場合はかならず « Merci de » になるので、« Merci pour » はシンプルに名詞のみが続くと覚えればOKですね。
« Merci pour » / « Merci de » は過去・未来で使い分ける???
さて、« Merci pour » と « Merci de » の基本的な使い方がわかったところで、個人的な疑問に移ります。それはこれら二つの前置詞をどうやって使い分けるのかということです。多くのフランス人とやり取りしていても、ある人は « pour » を使っていたり、別の人は « de » を使っていたり、基準がわからないんですね。過去・未来で使い分けているという話を耳にしたことがあるのですが、いったいどうなっているのでしょうか。
たとえばフィガロのある記事の場合、これから起こる行動や出来事の場合、またはお願いや頼み事の場合 « Merci pour » が使われやすいとしています。
Merci pour votre attention. ご清聴ありがとうございます。
この場合、« Merci pour » は集まった人々に対して、注意を払ってもらうようあらかじめお願いするというニュアンスになります。「あらかじめ」を意味する d’avance といった表現と一緒に使われることも多いです。
これが « Merci de » を使った場合、どちらかといえば、行為が終わったあとの御礼を告げるニュアンスになるでしょう。
Je vous remercie de votre attention. ご清聴ありがとうございました。
この場合は講演が終わり、事後的に、集まってくれた人々に対して聴いてくれた御礼を告げるということになります。
しかし別のサイトの記事では、フィガロの見解とは反対のことを言っています。
Merci de votre aide demain. 明日助けてくれるということでありがとうございます。
Merci pour votre lettre qui est arrivée hier. 昨日届いた手紙ありがとう。
調べてみると、 « Merci de » より « Merci pour » のほうが新しい言い回しのようで、今ではよく使われるのだとか。
いずれにせよ両者はニュアンスの違いなので、一方が他方に対して、絶対に間違っているというわけではないんですね。
冒頭で述べたように、アカデミー・フランセーズが決定するまでは、« Merci de » か « Merci pour » は好みに従って自由に選んでいくつもりです!
番外編 « Merci à » の場合は??? « Merci » に関するその他の表現
« Merci de » と « Merci pour » の違いがわかったついでに、« Merci » に関するその他の表現も一緒に覚えてしましましょう!
相手に御礼を言うとき
« Merci à » のあとには人称代名詞が続き、御礼を言うことができます。
Merci à vous ! (相手に対して)ありがとう!
Merci à toi! (親しい相手に対して)ありがとう!
皮肉っぽい返事をするとき
« Merci du compliment » は言われたことを皮肉で返す、いかにもフランスっぽい言い回しです。
Merci du compliment ! (皮肉に)褒めてくれてありがとう!
怒りを表す表現
« Merci de moi » は怒りを表すときにつかう言い回しです。以下の例を見てみてましょう。
Mariquita : Me prenez-vous pour une sorcière?
Antonio : Vous le dites.
Mariquita : Merci de moi!
(Prosper Mérimée, Théâtre de Clara Gazul)
マルキータ:私が魔女だっていうのですか?
アントニオ:そう言ったじゃないですか。
マルキータ:なんてこと!
(プロスペル・メリメ『クララ・ガズルの戯曲』)
いろいろな言い回しを覚えてもっとフランス語が上手にならなきゃと思いました 🙂
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