【フランス】コロナ禍でインドカレーをテイクアウトしたときの出来事
- 2021/01/18
- フランス生活
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。
2021年1月16日の土曜日から、フランス全土で Couvre-feu がはじまり、18時以降の外出が禁止になりました。そのはじめの土曜日に5,900人が調書をとられたというのはさすがフランスという感じですね。
さて11月以来、レストランやカフェが閉まって久しいです。店内で食事はできませんが、持ち帰りは可能です。政府による飲食店に対する補償は100%でないので、経営の必要経費を補填するために、彼らは一生懸命持ち帰り商品を販売しています。コロナ禍を期に、店先での販売や Uber eats 等の宅配サービスを開始したお店も少なくありません。ちなみにテイクアウトでの売上は、補償金額を決定する要因とは無関係なので、稼いだ分だけお店の利潤になるようです。
先日、インド料理屋さんでテイクアウトをしました。店主の男性の話がとても印象深かったので、そのときの出来事を記事にしてみました。
パリのとあるインド料理屋さんでの出来事
内装が美しいレストラン
それはとある装飾が豪華なインド料理屋さんでの出来事。ほーしーとたーしーは、まるでインドの王宮に迷い込んだかのような気持ちだった。
きれいなお店ですね
とほーしー。
全部、インドから持ってきたんだ
ラジオに集中していた店主は、こちらに振り返りつつ答えた。
ここでもう、妻と二十年店をやっているんだよ
誰もいない店内は意外と奥行きがあり、店主は自慢のタピスリーを私たちに見せてくれた。
苦しいパリの飲食店
ワクチンの摂取がはじまった旨を告げるラジオ放送が流れる店内。注文した料理が出来上がるの腰掛けて待っていると、店主は愚痴をこぼしはじめた。
どうしてレストランとカフェだけ閉めなきゃいけないんだ。雑貨屋も本屋も開いている。スーパーマーケットも服屋も。あそこらなんか、お客が手にとった商品をそのまま棚に戻すじゃないか。どうしてレストランとカフェだけ
店主は悔しげに話を続ける。
うちはすごく衛生に気を使っている。お店は広いから、席間だって十分ある。すべての食器類は毎回消毒しているから問題もない。外国は飲食店を閉めたりしていない。フランスだけ、俺たちだけだ
次第に強まる語気。
売上は例年の半分だ。保証はもらえるけど、全部のカバーはできない。にもかかわらずお店の維持費と税金でお金はどんどん出ていく
その表情は鬼気迫っていた。はじめは雑談でもと気軽に話しかけた私たちだったが、次第に言葉を失っていった。最後に店主はこう言った。
もうやってけないよ(C’est la mort)
適応されなかった割引
そうこうしているうちに料理ができた。チラシに書かれていた「テイクアウトだと10%引き!」の割引は適応されないまま、50ユーロという合計金額を私たちは黙って支払った。帰り際、たまたまほーしーが持ち合わせていた職場でもらったヴィエノワズリーを店主に渡そうとした。
あの、これ……
ほーしーが言いかけた言葉は、宅配注文の電話によって断ち切られた。ヴィエノワズリーをカウンターに置き、私たちは店を後にした。
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