【フランス留学】大学や大学院の先生宛のメールの書き方〜指導をお願いする〜

【フランス留学】大学や大学院の先生宛のメールの書き方〜指導をお願いする〜

九月にフランス政府給費奨学金の説明会に参加したのですが(その時話したことはこちらから読めます)、以来、試験や留学についてこのブログにポツポツ問い合わせをいただくことがあります。

先日、 大学の先生への指導のお願いの仕方について質問を受けました。特にフランスの大学院に進学する場合、意中の大学の先生とのコンタクトは早めにとっておくほうがいいかもしれません。なぜなら今の制度だと、教授一人当たりが受け持つことのできる学生に制限があるからです。

それではどのようにフランスの大学の先生に指導をお願いするべきなのでしょうか。皆が皆フランスに知り合いがいるわけではありません。周りにフランスに留学した知り合いがいなかったり、フランスの大学・大学院事情がよくわからなかったり、色々な事情があると思います。そのような方にとって、この記事が参考になると嬉しいです。

メールの長さの目安(フランスの大学院での指導をお願いするために教授に送る場合)

指導教授へのメール

まず実際に私がフランスの大学の先生に送ったメール画像を掲載します。

さすがにぼかしましたが、視覚的な長さはこれくらいです。だいたい印象がつかめたでしょうか。私の場合、文字数は600単語程度でした。思っていたより短く、シンプルですね。

これが初めてフランスの大学教授にメールを送る経験でした。

※ここから先の内容には自分の個人情報がたくさん含まれていたので、一部伏字にしています。

メールの構成(フランスの大学院での指導をお願いするために教授に送る場合)

「日付」「自分の名前」「連絡先」「所属」をメールの頭に書く

À Tokyo, le 23 janvier 2021

自分の名前

メールアドレス[arobase]gmail.com

Université ○○○○

最初に日付、自分の名前、メールアドレス、現在の所属先(Université ○○○○)を書きます。

アットマークはフランス語で arobase と言います。ついでに覚えてしまいましょう!

「先生の名前と所属」「要件」を忘れずに書く

À Madame / Monsieur le Professeur ○○○○

De l’Université ○○○○

Objet : demande de direction

まず、誰宛なのかはっきりさせるために、○○○○大学の(l’Université ○○○○)○○○○教授宛(À Madame / Monsieur le Professeur ○○○○)ということを明記します。

先生の名前の前に、性別に応じて、Madame か Monsieur と書きます。その後に le Professeur と続くのは少し丁寧に「〜教授」というためです。インクルーシヴな書き方ではちょっとわかりませんが、基本的には professeur は男女不変の単語ですね。

名前を書いた後、 Objet =要件を書きます。メールの場合「件名」を入れられますが、手紙のように本文中にも Objet を書きました。ちなみに私は “demande de direction” としました。

この辺りはDELF B2 を受けたことがある方には馴染み深いかもしれませんね。というのも、DELF B2 の Production écrite では手紙を書くという内容が多いからです。(もしこれからDELF B2 の試験を受ける方は、ほーしーが過去に対策記事を書いているので是非読んでみてください

はじめに、研究テーマとフランスに行きたいことを告げる

Madame le Professeur,

Actuellement étudiant en deuxième année de maîtrise à la faculté de Littérature Française à l’Université ○○○, je rédige mon mémoire sur le sujet : « SUJET ». Je souhaiterais continuer à me spécialiser dans les avant-gardes littéraires. Je vais passer le concours des bourses du gouvernement français. L’année prochaine, je souhaiterais étudier à l’Université ○○ et j’aimerais travailler sous votre direction, soit dans le cadre d’un Master 2, soit dans celui d’un doctorat.

(大意)先生

[日本の] ○○大学 仏文科の修士二年で学んでおり、私は「〜〜」というテーマで修士論文を書いています。前衛文学を専門的に研究したく、フランス政府給費奨学金の試験を近々受ける予定です。来年度、私は [フランスの] ○○大学への進学できればと考えており、マスター2かドクター課程で、先生の指導を受けたいです。

メール本文のはじめには、自分が何者で、どこで、何を研究しているのかを書きます。

どこで、という問いについては大学に所属している方はそれを書けば良いと思います。すでに大学を卒業(修了)している方は自分が勉強した大学と「〜〜で勉強していた」と過去形で書けば良いのではないかと思います。

研究内容に関しては、その時の自分に応じて、卒論のテーマ/修論のテーマ/博論のテーマ等を書くとわかりやすいと思います。

その後、もしフランス政府給費奨学金の試験を受ける予定があればその旨を、フランスの先生の大学で勉強したい旨を書きます。その際、自分が希望するる課程を書くと良いかもしれません。私はマスター2かドクター課程と書きましたが、マスター1の場合はそのように書けばOKでしょう。

自己紹介(関心、経歴等)

研究テーマとの出会い

À l’origine, je me suis intéressé aux arts – non seulement à la littérature mais aussi à la peinture – modernes et contemporains. J’ai appris que la littérature moderne avait une tendance révolutionnaire et poursuivait la possibilité  du langage, et j’ai voulu en connaître davantage. J’ai alors découvert 〇〇○○ et celui-ci m’a passionné. Je me suis de plus en plus intéressé au mouvement d’avant garde du XXème siècle.

(大意)もともと文学や絵画に、とりわけ現代のものに興味がありました。現代文学には革命的傾向があり、言語活動の可能性を探求していたことを知りました。それについてもっと詳しく知りたくなりました。そんな時、〇〇〇〇[という作家]にを見つけ、惹きつけられました。次第に私は20世紀の前衛芸術運動に関心を持ち始めました。

具体的な研究テーマについて語る前に、どういう風に自分が研究対象の〇〇〇〇という作家と出会ったかを簡単に説明します(意味があるかわかりませんが、いちおう私の研究テーマはふせています)。個別のテーマよりもっとヴァストに、文学研究のどういう部分に惹かれているのかを書きました。

研究テーマで特に関心を持っていること

Ce qui m’intéresse particulièrement chez 〇〇〇〇 est 〜〜. […]

Je voudrais donc étudier 〇〇〇〇 en le comparant à d’autres écrivains et aux membres des autres mouvements d’avant gardes de l’époque, pour mieux dégager la spécificité de son écriture.

(大意)〇〇〇〇の作品でとりわけ関心があるのは〜〜の部分です。(略)

したがって、彼のエクリチュールの特色を引き出すために、私は〇〇〇〇を他の作家や同時代の前衛運動と比較しつつ分析したいと思います。

ここは最も具体的に書くべき部分だと思います。上に卒論のテーマ/修論のテーマ/博論のテーマ等を書いていますが、それをもっと詳細にしていく作業になります。その際、どういう方法論を採用する予定か説明できるとなお良いかもしれません

また、フランス語で書いた論文や研究計画等があれば、それを添付しても良いと思います

なぜその先生か(本や論文を読んでいることのアピール)、なぜフランスか

J’ai déjà lu les uns des vos livres / vos articles (具体的な書物・論文名), et me suis toujours beaucoup intéressé à votre critique.

(大意)先生の書物/論文を既にいくつか読んでおり、そのクリティークに惹かれました。

指導をお願いしたいということでしたら、既にその先生がどういう研究をしているのかを知っているはずです。その先生の研究の中でどういう書物/論文が自分の興味を引き、どういう方法が自分の研究にあっていると考えているのかを書くと相手も指導のイメージがわいていいと思います。

de façon 〜といった表現を使ってより具体的に何に惹かれたかを付け加えると良いかもしれません。

留学のために必要な手紙・Attestation のお願い

Et il me faudrait votre Lettre d’acceptation pour me présenter à concours des bourses du gouvernement français. Est-ce que vous m’accepteriez et m’enverriez la lettre en forme suivante ? ; le document doit être original et rédigée sur papier officiel à en-tête de l’établissement concerné et faire clairement apparaitre la date, le nom, la fonction, ainsi que les coordonnées du signataire.

En vous remerciant de votre attention, je vous prie d’agréer l’expression de mes sentiments les plus respectueux.

Signature

(大意)フランス政府給費生の試験を受けるために受入の手紙が必要です。お手数ですが次の書式で送っていただけませんでしょうか。

敬具

署名

最後に、受入を確認するための手紙を送ってもらえないかお願いします。Attestation とは証明書類のことです。試験、大学入学はもちろん、保険やインフラ関連まで本当によく使う言葉なので覚えておくと良いと思います 🙂  私は留学を心に決め、フランス政府給費生の試験を受けるまでこの単語を知りませんでした(苦笑)

もしフランス政府給費生の試験を受ける場合、書式が決まっているので適当なフォーマットを説明します。

文章を締めるために、御礼と署名をすれば完成です。

まとめ

いかがでしたか。

はじめてフランスの大学・大学院の先生にメールを書くとき、私はすごく緊張しました。自分のフランス語はいまよりもずっとずっと低レベルだったし、本当に留学してやっていけるか自信もなかったからです。それでも、それをしなかったら必ず後悔するだろうということでようやく筆を執ったのを今でも覚えています。

実際にフランスの大学・大学院の先生にメールを書いたのは、渡仏の一年くらい前のことでした(渡仏一年前からの準備に関してはこちらの記事を読んでみてください)。最初に書いたように、意中の先生がいる場合、なるべく早くコンタクトを取っておくにこしたことはないでしょう。

あとは返信を気長に待つだけです。みなさまのフランスでの大学・大学院生活が少しでも良くなりますように!