フランスの大学院に留学するまでの1年間の過ごし方

私は2017年よりフランスの大学院 博士後期課程で文学の勉強をしています。「フランスの大学院に行こう」と決め、実際に来るまで、だいたい一年間程かかりました。いつどこでどんな手続を私がとったのかを記事としてまとめ、「フランスの大学院で学びたい!」という方のお役に少しでも立てればと思います。(参考までに、筆者は人文学の研究をしています。)

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4月〜7月:指導教授探し

渡仏以前、私は日本の大学に所属していたので、日本の指導教授と相談し、留学先(先生含め)を決めました。指導教授選びのポイントは(1)自分の専門(2)研究室の人数 です。(1)に関してはそのまま。さもなくば、自分の研究が進まなくなってしまいます。(2)に関しては近年制度が変わったようで、一人の指導教授が受け持つことのできる博士課程学生数が定められているからです。フランスの大学の先生は著名な方も多いので、いざ自分が研究室に入りたくとも、既に受け持ち学生がいっぱいということもありますので注意が必要です。

ところで、みながみな留学前に日本の大学に所属しているわけではないと思います。そういう場合は、どうすれば良いでしょうか。
そもそもフランスの大学院に入りたいという方は、フランスで学びたい何かがあると思います。文学、美術、音楽、政治、経済などなど。ですので、その志向に基づいて大学のウェブサイト等で先生を調べてみるのはあると思います。あるいは、関心領域の文献を読んだりする場合は、その著者の先生や、そこで引用されている文献の著者の先生を候補にすると良いと思います。

8月〜1月:指導教授に連絡

私がフランスの大学の先生に初めて連絡をしたのは、実際の渡仏一年前にあたる8月でした。内容は、(1)現在自分が日本の大学に所属中であること(2)自分の専門分野(3)Master 2 か Doctorat から指導してほしいということ の三点です。

(1)現在自分が日本の大学に所属中であること

私の場合は大学院修士課程に所属していたので、それをそのまま伝えました。そうすることで、自身の身元を証明できるので先生に安心してもらえるかなと思ったからです。ただし、社会人や大学卒業後にフランスに留学したくなったという場合もあると思います。学部卒業後、社会人になり、その後フランスに留学した方も知り合いにいるので、まずは先生に相談するというケースもあり得ると思います。(あるいはキャンパスフランスに相談

(2)自分の専門分野

自分の専門を説明するにあたり、私は、それまでに発表した論文をフランス語に訳したヴァージョンや研究計画書を送りました。フランス人の先生に自分の研究について説明することは初めてではありませんでしたが、その内容を詳細に、しかも初めて会う方に文章で説明するというのはかなり苦戦した覚えがあります。

留学に少しでも関心がある方は、フランス語での手紙やEメールの書き方を前もって練習しておくとかなり有効だと思います

(3)Master 2 か Doctorat から指導してほしいということ

フランスの大学院に入学する場合、特に日本で修士号を取得してから入学する場合、多くは Master 2 (日本の大学でいう修士二年に相当)か Doctorat (日本の大学でいう博士課程に相当)のどちらかから勉強をスタートすることになります。Master 2 に入ると、目下の目標は Mémoire (修士論文)を書き上げフランスで学位を取得することになります。Doctorat に入ると、博士論文執筆のための資料調査やセミネール等への参加等、自主的に研究計画を進めることになります。

キャンパスフランスに登録しよう!

2月〜5月:キャンパスフランスに登録

フランスの大学に入学する場合、キャンパスフランスという機関への登録が必須になると思います。以下のサイトからアカウントを作成し、必要な書類を準備した後、その審査や面接を経ることでビザの申請ができるようになります。留学を考えている方はまずはアカウントを作成すると良いでしょう。
http://www.japon.campusfrance.org/

ちなみに、私が準備した書類は以下です。
・学部、修士の成績証明書(英訳)
・学部、修士の卒業証明書(英訳)
・フランスの指導教授からの受入証明書 attestation(受入許可がおりていたので)
・自分の証明写真
・フランス語の能力の証明書(DELF DALF、TCFを予め受けておく必要があるので注意!)

ちなみに受入証明書に記載されている情報には注意したほうがいいかもしれません。受入期間や名前等、不備があるとはねられる場合があります。そのあたりは事前にキャンパスフランスの様式を念入りに確認し、不備の内容にすると良いと思います。(不備があると、改めて先生にお願いし、返信を何日も待つ場合もあるので……。)

渡仏手続きをしよう!

5月〜7月:住居探し

フランスの住居探しは日本で行いました。交換留学生でしたら日本の大学が用意してくれる場合が多いかもしれませんが、私費ですと、自力で見つけなければならないことも多いでしょう。

一つ目の候補として、パリ国際大学都市(シテ・ユニヴェルシテール、以下シテ)があります。その名が示すとおり、世界各国の大学生や研究者が集まる広大な大学寮みたいなものです。パリに着いてから初めて行きましたが、本当に広く、ジョギングやピクニックをしている人たちもいました。

日本人は、まずシテの日本館に居住の申し込みを行います。以下のサイトで、フランスのシテのサイトに登録し、日本館独自の手続きを踏みます。
http://maisondujapon.org/reserve.html#résident01

2017年の締切は5月16日ですので、大体5月半ばまでに書類を揃えると良いと思います。
シテ以外にも、フランスの大学寮や個人で契約を行う場合もあるでしょう。ただし、後者の場合は、契約書の行き違いやダブルブッキングによる探し直し等もあるようなので、注意が必要です。

7月〜8月:ビザ VISA の申請

これまでの手続きを経てビザの申請を行います。ビザの申請にもまた多くの書類が必要です。必要な書類は、在日フランス大使館のサイトに記載されています。
https://jp.ambafrance.org/article3731

多くのブログで指摘されていますが、ビザ申請のために大使館前で1時間以上待ちますし、申請は非常に淡々と行われました(私の時は、そこまで無愛想でも怖くもなかったですが)。

提出書類の中にある「必要書類リスト」というのがありますが、そこに書かれているように、書類は指定されている順番で必ず並べましょう。さもなくば、もう一度並び直しなんてことになります……(実際、そういう方がいました)。

その後フランスに到着したらビザを有効化します(この手続きについても別途記事にできればと思います)。

まとめ

以上、私が踏んだ手続きですが、フランス留学までに行ったことをまとめてきました。先生や住居を探す期間、研究計画書や受入証明書準備する期間を踏まえると、結局1年くらいかかりました

後々キャンパスフランスに証明書を提出しなければならないとか、フランス語の試験も受験しなければならないとか、色々と大変なことも多いですが、周りの方々がきっとサポートしてくれると思うので、一人で悩まずに積極的に動いてみるといいと思います!

簡単なまとめなので、ご不明点等あれば、フォームからお気軽にご連絡ください!

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たーしー

パリの大学で20世紀フランス文学(特に前衛詩)を研究しているクマ。フランスの時事、大学、奨学金、文学、レストランについての情報を中心にお届け。

コメント

  1. YAMAMOTO より:

    こんにちは。はじめまして。現在パリの語学学校で勉強中のものです。
    将来について悩みすぎてパンクしそうなのでコメントさせていただきます。突然すいません。
    現在大学院への進学を考えているのですが、日本で大学に通っていたのが5年前となるので正直自分が当時学んだことも忘却の彼方です。。ただ大学院なので大学で学んだことと全く同じ方向性でないとやはり入学は厳しいでしょうか。
    フランスで就職したいので学歴が欲しくて大学院に行くようなものなので、正直分野に対しては拘りはありません。
    ざっくりしたご質問で申し訳ございませんがお時間があるときご回答いただければ幸いです。

    • たーしー より:

      YAMAMOTOさん、こんにちは、はじめまして。ご質問ありがとうございます! お返事が遅れてしまいすみません。
      さてフランスの大学院進学に関してですが、基本的には学部で学んだことの専門性を高めることが目的になるかと思うので、専門の大きな変更は難しいと思います。
      しかし多少の変更は大丈夫だと思います。文学→社会学、や、社会学→映画・芸術、や、法学→文学、などです。実際に法学→文学とマスターから専攻を変えることに成功したベルギー出身の友人もいます。これが文学→物理学、とかになると難しいと思います。余程の知識があれば別かと思いますが……。
      そうはいったものの、よく言われるように、フランスは交渉次第でなんとでもなるようにも思います。良い Lettre de motivation と CV と語学の証明さえあれば入学の可能性はたくさんあると思うので、頑張ってください! 応援してます!

  2. chai より:

    たーしーさん、大変興味深いブログで有難いです。フランスへの大学院進学について、質問させて頂きたく存じます。私は今、日本の大学の博士後期課程2年目の院生です。三島由紀夫の作品研究をしていて、専門は日本近現代文学です。実はどうしてもフランスの大学院・修士課程で三島研究をしたいのです。フランス語のレヴェルはあまり高くないです。学部(法学部でした)の時に、第二カ語としてフランス語を少し学び、社会人を2年(ワインの輸入商社)経験してから、どうしても大学院で三島の研究をしたい!という気持ちに駆られ、退職をして現在の研究生活に至ります。

    今は、今年のDELFB2試験の合格に向けて、プライベートレッスンに通っていて、来年2021年には2~3月にはまず語学留学をしようと計画しています。フランスの大学院(修士課程)選びについて質問があります!私の大学では、博士後期課程の学生が交換留学できるシステムがなく、自ら大学院を探して受験することになるのですが、どのように大学院を調べ始めたら良いのかわからないのです!例のフランスでの大学院の学費の値上げの件ですが、一律にフランスの国公立大学の学費が値上げしてしまったのですか??まだ学費が安い所はないのでしょうか?
    大学院を探しをするのあたって、何か道筋を示して頂けたら嬉しく存じます。ご返信を宜しくお願い致します!

    • たーしー より:

      chai さん、
      こんにちは、はじめまして! ブログのご感想ありがとうございます! もともと文学部じゃなかったり会社勤めをされていたり、chai さんの経歴はどこか私のものと似ているので、なんだか他人事とは思えないです(笑) 三島の研究なんて、素晴らしいですね。色々と教えていただきたいくらいです。昨年たまたまパリ・ディドロ大学で三島に関する学会があったので参加したのですが、彼が世界中で熱心に研究されているのがわかり面白かったです。
      さて、フランスの大学院についてですが、chai さんと近い関心を持つ先生の所属される大学にするのが一番だと思います。既に博士後期課程2年目でいらっしゃるとのことですので、三島や日本文学関連の論文や著書をたくさんご存知かと思います。それらの著者の中で、どの先生に師事したいかというのを考えてみてコンタクトしてみると良いかもしれません。パリだと、ひょっとすると、パリ・ディドロ大学やフランス国立東洋言語文化学院(INALCO)なんかは候補になるかもしれません。
      次に、フランスの大学の学費の件ですが、少し調べてみたら「値上げを拒否する大学」「学費免除を適用する大学」のリストがでてきました(ただし、le 16 mai 2019更新の記事なので古いです)。

      http://www.sauvonsluniversite.com/spip.php?article8480

      この中に挙げられている大学は、もしかしたら次年度も学費を据え置きにする可能性があるのではないでしょうか。ただし、これはあくまで2019-2020年度の情報ですので、これからどうなるかはわかりません。事実、ここでも「値上げを拒否した大学」として名前が挙げられている Nanterre の職員の方と昨年話したとき「次年度はどうなるかわかりませんよ」と言われました。ですので、あくまで、当年度に値上げを適用しなかった参考としてご理解くださいませ。

      もしchai さんが30歳以下でしたら、フランス政府給費奨学生を目指してみるというのもひとつの手だと思います。今の制度だと、奨学生になれば学費が免除されるのでひとまずは学費で悩まされることもなくなるかと思います! フランス政府給費奨学生についてもブログを書いているので、よければ以下の記事をのぞいてみてください! 応援しています!

      https://parismasse.net/?p=189