【フランス語】 Bonne chance の意味。Merde(クソ)がその代わりになる理由って?
- 2021/04/06
- フランス語勉強
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。フランスは年度末で、試験を控えている学生も多いのではないでしょうか。
「試験頑張ってね!」というときに “Bonne chance !”(グッドラック的な)なんて言ったりもしますが、とりわけ試験や面接のような鬼が出るか蛇が出るかといった状況だと、 “Merde !”(文字通りだと「クソッタレ」とか「クソ!」みたいな意味)と相手に言ったりすることも多いです。
どうして “Merde” なんでしょうか。いつからそういうようになったのでしょうか。ふと気になったので調べてみました。
Merde(クソ)が Bonne chance を意味するようになるまで
先に述べたように、グッドラック的な意味での “Merde” は、試験や面接のような鬼が出るか蛇が出るかといった状況を前にした人や、舞台前の俳優に投げかける言葉です。
いつから使われだしたのか
このような使用法はいつからあるのでしょうか。調べてみたのですが、諸説あるようでした。18世紀末とするもの、19世紀半ばとするもの、20世紀前半とするものがいくつかありました。
Merde(クソ)=Bonne chanceの起源
また、その起源も複数あるようです。
ひとつ目は迷信説。ある時期、「グッドラック(Bonne chance)」 と言うと逆に不幸がもたらされ、成功や勝利よりも失敗の原因になると考えられている時期がありました。こうして、対義語を選ぶことで、悪い運命を払いのけるという一種の習慣が生まれたようです。(すこし、フランスのエスプリそのものに通ずるものがある気がしますね)
もうひとつは演劇に関するもの。お客さんは劇場に、馬車(特に辻馬車 fiacre ですかね)やってきます。ですので、劇場の前に馬の糞が残されていればいるほど、たくさんのお客さんがその劇場にやってきたことを示すようになりました。こうして「俳優に Merde(クソ)を願うこと」(souhaiter merde à un acteur)がグッドラックになったというわけです。劇場周辺が汚くなればなるほど、劇作が成功したことを意味するというのは面白いですね。先に述べた反対のことで悪運を払いのける、に通ずるものがあります。
さらにはもっとシンプルに「左足でクソを踏むことが幸運につながる」迷信もあるのだとか。N’importe quoi, on fait feu de tout bois ! という感じですね…(笑)
“Merci” (ありがとう)と返事をしてはいけない!?
迷信ついでにもうひとつ。自分が “Merde” と言ってもらったときに、”Merci” (ありがとう)と返事をしてはならないというルールがあるようです。なぜかというと、メルシーということが不幸を運んでくるという迷信があるからだとか。
カンブロンヌの一言
“Merde” という gros mot に関する有名な逸話をひとつ。ナポレオン時代の将軍、ピエール・カンブロンヌは戦に負け、イギリス軍から降伏を迫られます。そんなイギリス軍の将軍、チャールズ・コルヴィルに対してカンブロンヌは « La garde meurt mais ne se rend pas ! » と言い放ちます。続けざまに、短く、それでいてエネルギッシュに « Merde ! » とも。以来、« le mot de Cambronne » (カンブロンヌの一言)ないし « les cinq lettres » と言えば、”Merde” を意味する用になったと言われています。
英語の “four-letter word” にすこしだけ似ていますね。
なぜ Merde(クソ)が Bonne chance を意味するのか まとめ
いかがだったでしょうか。なぜ Merde(クソ)が Bonne chance を意味するのか、あらためてまとめてみると次のようになります。
- 「グッドラック(Bonne chance)」 と言うと逆に不幸がもたらされるという説
- 演劇に関する説
- 「左足でクソを踏むことが幸運につながる」説
どれを信じるかはあなた次第です。余談ですがパリマセの二人は近々テスト等を控えているので、読者の皆さまはぜひ “Merde” を届けてくださいませ……。
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