【奨学金編】社会人経験を経て、フランスの大学院で勉強するまで(2)
- 2021/04/07
- 留学・ワーホリ
※こちらの「【振り返り】社会人経験を経て、フランスの大学院に留学するまで(1)」の記事の続きです
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。日本は新年度に変わりましたね。ということは、自分が大学の世界に戻ってから6年もの月日が流れたということです。いまだに博士論文と格闘中なのですが……。
私は経済学系の学部を卒業し、サラリーマンに就職してから文学系の大学院に入り直すという少し変わった経歴です。かつての私と同じように、「社会人になったけどやっぱり詩を研究したいんだ!」「サラリーマン向いてないし、どうしても小説を極めたい!」という方ももしかしたらいるかもしれません。
もしそういう方が最後の一歩を踏み出せないなら、それはお金の不安が大きいからではないでしょうか。少なくとも私は大学院に戻れたとしても、どうやって生活をやりくりしようという点で頭を悩ましていました。恥ずかしい話、給付型奨学金(フランス政府奨学金等)の存在すら知らなかったのです。
今日は自分がサラリーマンを辞めて大学院に戻ってから、特に修士課程の二年間をどうやって過ごしたのかを振り返ってみようと思います。
社会人を辞めて大学院修士課程へ
修士向けの奨学金は少ないので、第一種奨学金の返還免除を狙う
まずは大学独自の給付型奨学金がないかチェックする
サラリーマンを何年やっていたのか、貯金がいくらあるのか、条件は個人によって様々でしょうが、奨学金がもらえるならもらうに越したことはありません。
そうは言っても、修士向けの給付型奨学金は非常に少ないです。民間だとさらに限られます。経済学、法学、ジェンダーといった社会科学系の研究をやっているならともかく、詩や小説といった人文学系の研究をするにはなかなか厳しい時代です。
ですので、民間の奨学金よりは、大学独自の給付型奨学金を狙うほうがいいと思います。ただ、先に述べたように、当時私は奨学金について何も知りませんでした。そのため気がついたときには大学独自の給付型奨学金の申込締切が過ぎてしまっていました……間抜けですね。これから大学院に戻られる方は、まず大学独自の給付型奨学金がないかチェックするのをオススメします。
JASSOの第一種奨学金を借りる
言い訳すると、私が大学独自の給付型奨学金がないかどうかのチェックをおこたってしまったのは、JASSO(日本学生支援機構)の第一種奨学金のことで頭がいっぱいだったからです。これは給付型奨学金ではなく貸与型なので、学業を修めた後、借りた額を月々返還しなければなりません。それでも、当時収入がなかった私にとっては、無利子でお金を借りれるのはありがたかったです。この制度のおかげで、なんとか修士課程の二年間生活できたと言っても過言ではないでしょう。
JASSOの第一種奨学金の返還免除制度を知る
そういうわけで、お金を借りることができただけでも少なからずありがたかったのですが、このJASSOの第一種奨学金には返還免除という素晴らしい制度のがあるのを修士の二年目に知りました(遅)。
JASSOの第一種奨学金の貸与額は、おおよそ55,000/月かおおよそ88,000/月のどちらかだったと思いますが、制度に通れば「借りていた金額×24ヶ月」が返還免除になるということです。これは大きいですね。
第一種奨学金の返還免除制度に申し込むには、大学に所定の書類を提出すればOKだったと思います。その際に以下のような項目を記入します。
- 学位論文……修士論文の評価はどうだったか。
- その他の研究論文……修士課程の間に研究論文を発表したか。
- 授業科目の成績……成績はどうだったか。
- 研究又は教育に係る補助業務の実績……TAやRAはやっていたか。
- 特許……修士課程の間に特許をとったか。
全部は覚えていませんが、こんな感じだったと思います。正直、特許を取る人など稀だと思いますし(特に人文学系だと)、TAやRAは制度に申し込む人のほとんどがやっていると思います。ですので、差がつきやすいのは論文と成績。したがって修士のうちから既に成果公表を意識すること、そして授業科目の成績は最高評価のみを目指すということの二点がポイントになると考えられます。
一点目については、社会人を経て大学院に戻る場合、どうしても学部から続けて学んでいる人と比べて業績に差がつきやすいです(特に私みたいに、専門を変えてしまう場合)。なぜなら第一に経験の差があるから、第二に〔研究者同士の〕繋がりの差があるからです。
ですので少しでも実績を増やせるように、色々な場に顔を出してみたり、知り合いに実績をつくりたいと相談したりするといいと思います。幸いにも私の場合、そういう相談に乗ってくれる友人が修士に入ってからできたので、在学中に学位論文以外の研究論文を公表することができました。本当に友人たちには感謝しかないです。
二点目については、大学院に戻ったら勉強だけに集中し、とにかく最高評価で成績が埋め尽くされるようにしてください。学部の頃は考えられなかったのですが、大学院の人たちは本当に成績が良くて度肝を抜かれました。GPAなら3,50だと低い方で、平均3,70くらいが平均、総代となると4,00(つまり満点)も当たり前の世界です。彼らに引き離されないように、可能な限り勉強に集中し、課題のレポートは当然のこと、任意に出されたものも提出するほうが良いです。
第一種奨学金の返還免除制度に通るためには、すべてを完璧にこなすというくらいの強い気持ちを持っていたほうがいいと思います。
社会人を辞めて大学院博士課程へ
日本学術振興会特別研究員になる
このようにして修士課程を乗り切った後、博士課程に進学する人もいるかも知れません。サラリーマンを辞めて大学院に戻る前は、「修士さえできればとりあえず満足かな〜」とぼんやり考えていたのですが、周りの人から影響を受け、私は博士課程に進んでしまいました。
修士課程と比べると博士課程は給付型奨学金も多いですし、応募できる助成金も多いです。もちろんあくまで修士課程と比べるとなので、そんなにたくさんあるわけではないですが。
大学院博士課程に進学する場合、とりあえずの金策として重要なのが日本学術振興会特別研究員になることだと思います。この特別研究員に選ばれると、博士課程に在学しながら2〜3年もの間、20万円/月を+研究費(50万円程度/年)をもらうことができます。修士の頃を考えるとかなり高待遇であると私は思います。例年5月に応募締め切り、10月に結果発表なので、今年申し込む方はいま慌ただしくしていることかと思います。詳しくは日本学術振興会のウェブサイトを検索してみてください。
まとめ:お金がないという理由で大学院に戻るのを諦めるのはもったいない!
いかがだったでしょうか。私がこの記事で言いたかったのは「お金がないという理由で大学院に戻るのを諦めるのはもったいない!」ということです。
私のことを見放さずにいてくれた親と兄弟には感謝してもしきれませんが、経済的な支援(いわゆる仕送り)は無かったし、親元を離れ一人暮らしをしていました。だから当時の生計は、貸与型奨学金と前職のウェブ関連(サイト制作とSEO等)のアルバイトによって立てられていました。
また既に書いたように、大学院に戻ろうとしたとき、あるいは戻ってからしばらくしても、今日のブログで書いたJASSOの第一種奨学金の返還免除制度についても、日本学術振興会特別研究員についても、ましてやフランス政府奨学金制度についても、私は何も知りませんでした。
それでも今日までなんとかやれています。夢だったフランス留学も叶いました。
お金がない、は全てを諦める言い訳になりますが(私もよく使います)、それを解消する手立てもきっとあるのではないかと思います。だからあまり思いつめず、時には少し楽観的になり、自身の情熱に身を傾けてみてはいかがでしょうか。
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