「ビスキュイ」とフランス菓子:ビスケット缶に秘められた歴史まで
- 2017/01/02
- お菓子史
ボンジュール! パリパリマセマセのほーしーです。
今年も途切れ途切れながら、このブログをアップし続ける事を一つの目標にしていきたいと思います! どうぞよろしくお願い致します。
さてさて。クリスマスやお正月、皆さん、どのようなお菓子やケーキを食べたのでしょうか。今日はビスキュイ(ビスケット)についての記事です!
フランス菓子としての「ビスキュイ」の誕生
この言葉は、16世紀までさかのぼると、元々“bescuit” =二度焼く と言う言葉で使われていました。
最初は、貧しい人々や巡礼に配る為に修道院が作っていた二度焼きしたパンの事でした。
そのうち、小さくて丸い、両面を焼いて石のように硬くて、日持ちのする焼き菓子を考えつきます。これは現代のビスコット、“ラスク”の先祖で、兵士や長旅に出る人の必需品でした。
ですが17世紀ごろから、パウンドケーキやスポンジケーキの様な物もビスキュイと呼ばれるようになりました。理由は分かりません…
確かに現代でもお菓子業界では、ケーキのパーツであるしっとりとしたスポンジ生地を、ビスキュイと呼ぶ事が多いと思います。けれどもまた、元々の意味のように、完全に乾いた“フールセック”、サブレ、ビスケットと呼ばれる物たちもまた「ビスキュイ」であることは確かなのです。
さてさて、こちらはフランス土産のビスケット缶です!
左上に“Biscuitier”=ビスキュイ職人 と書いてあります。柄が可愛くて、中身がなくなった今もお茶の葉入れとして使っています……。
可愛い柄が多いビスケット缶。私の様に捨てられず、集めている方もいるのではないでしょうか。実は、このビスケット缶にも秘められた歴史があるのです……。
フランスのビスケット缶の歴史
クリスマス前、輸入食料品店カルディコーヒーで購入したデンマーク産のビスケット缶。
綺麗なパッケージに惹かれて300、400円くらいだったでしょうか?ついつい購入してしまいました。
またお正月、帰省する際の手土産に大好きなパティスリーRyouraの缶入りサブレアソルティを購入しました。
優しいカラーのロゴが可愛いらしい缶々です。
このビスキュイを入れているビスケット缶の歴史をご存知でしょうか。
人々がビスキュイをこの様な缶に入れ始めたのは19世紀初めの頃。ギフト缶を初めに販売したのは、イギリスのHuntley & Palmersと言う会社だそうです。18世紀半ばからイギリスで起こった産業革命により、ビスケットにも大量生産化が起こり、その物流の為に使用していた大きな缶を、次第に小型化、そして販売向けに装飾を施したのが始まりでした。
ビスキュイが大々的に商品として販売され、何処でも手に入るようになるまでは、どの家庭でも当たり前のように、特に母親がその家オリジナルのレシピでビスケットを焼いていたものでした。またそれは娘にも受け継がれ、美味しいビスケットが焼けると言うことは一つ結婚しゆく女性の必須条件の様なところがあったようです。そうして焼かれたビスケットは缶ができるまでは、樽などに入れて保存されていました。
また悲しい話ではありますが、1914年、第一次世界大戦が始まると、当然の事ながら民衆の食生活は圧迫されるようになりました。特に卵やバター、砂糖など、贅沢なものはなかなか手に入らなくなります。そんな中、女性達は、戦場に赴く夫や息子に、なんとか甘いものを食べさせてやりたいと願い、ある材料で工夫しながらビスケットを焼き、缶に入れて手紙と共に戦場へ送ったと言われています。
今は何処でもいつでも手に入るビスケット缶。いつの間にか空缶が増えて処分するしかなくなってしまうのですが、こんな風に少しだけ、歴史に想いを馳せながら選んでみれば、お気に入りの愛着が湧くビスケット缶に出会えるのでは無いでしょうか。そして大切な人にプレゼントしてみてはいかがでしょう…
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