【お菓子史】パックとは?イースターとフランス菓子
- 2017/05/01
- お菓子史
Bonjour à tous !
気が付けば4月も終わり、日本はGWに突入ですね!
パティスリーにとってこれは夏前の繁忙期の一つです。
新幹線も停まる駅近のお店で働いていた友人は、クリスマス並に忙しいと悲鳴を上げていました!
さてさて、今回のテーマなのですが、パック=イースターについてです。
話題がすでに古いかも知れませんがお許し下さい。
来年の為にと思って行ってみましょう!!
イースターとはキリスト教においての「復活祭」、フランス語では「パック」と言い、十字架に架けられたキリストが、その3日後に復活した事を記念するお祭りです。
その祝い方は地方によって様々ですが、卵やバターや乳をふんだんに使用したパンやケーキが作られ、豪華な正餐が取られます。これには、キリスト教会において、復活祭より前に動物性食品を禁止している期間があるために、その間に貯まった食材を消費すると言う意味合いもあります。
そして何より有名なのが “イースターエッグ” 。
もともとはデコレーションされたゆで卵でしたが、パティスリーやショコラトリーでは、この時期沢山のショコラの卵が作られ、それぞれのお店が他にないデザインをと、しのぎを削っています。
リヨンの老舗ショコラトリー
“パロマス” 復活祭のディスプレイ
高級感あふれる、パリ13区のパティスリー
“Carl Marietti”のたまご
更には卵だけでなく、多産の動物たちをモチーフに、ニワトリやウサギ、サカナなどを模したショコラも売られます。これは、スーパーなどでもお手軽に買うことができますが、フランスでは4月も終わり頃になるとこの様に…
セールになります。
またこの他にも、いくつか買うと安くなる、もしくはもう一つは無料と言うのは、フランスではよくある値下げ方法です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、実は復活祭とは移動する祝日で、基本的には “春分の日の後の最後の満月の次の日曜日” 。
今年のパックは4月16日でした。
そして更にややこしいことには、西方教会と東方教会、キリスト教の派閥によって暦の算出方法が違うので、『復活祭の日』と言うのがそれぞれ別に存在する年があるのです。
繰り返しますが、今年はたまたま、どちらも4月16日でした。
私がショコラトリーでパックの卵を作っていた頃は、一体いつがパック当日なのだろう、この卵はいつまで作り続けて売って良いのだろう、といつも疑問に思っていました。
毎年チェックしなければならいのは億劫ですが、今ならば簡単にネットで検索すれば、Wikipediaなどで双方の祝日が簡単に分かります。日本のパティスリーでは、東方教会のパックまで卵を販売すれば親切ではないでしょうか。なぜなら、大抵はそちらが後に来るからです。
確かに私たち日本人の暦の見方は、西方教会の使用するグレゴリオ暦ですが、日本正教会は東方教会に属し、ユリウス暦を使用します。そもそも、日本人がクリスチャンではないのにお祭りに参加したいと言うのがちょっと無茶で、これはクリスマスとよく似ていますね。
もちろん、私自身パックのショコラにわくわくするし、クリスマスも欠かさずお祝いするので、批判はできません!
私は無宗教ですが、ヨーロッパのお菓子を学ぶ上でキリスト教は切り離すことができません。
日本にヨーロッパ文化が入って来るのは良いことですが、敬意を持って、その意味をよく理解しようとする事を忘れてはいけない様に思います。
それでは、また次回!
A bientôt 😉 !
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