カリソン(Calisson):王妃の微笑みと幸せを呼ぶ南仏のお菓子。
- 2018/04/21
- お菓子史
Bonjour à tous !
遂に1年間のワーキングホリデーを終え、まったりバカンスモードのほーしーです!
ワーホリを終えた今もリヨンに滞在中なのですが、ビザ終了後の滞在延長法についてはそちらをご覧下さい!
さてさて!4月の一大イベントと言えば!!
私の誕生日がありました!(完全に私事ですみません…)
そこで南仏出身の友だちがプレゼントをくれたのですが、それがこちら!!
そう「カリソン・デクス」!
この特徴的なひし形から、プレゼントの包みを開ける前から中身が分かってしまった私。笑
アーモンドペーストに南仏特産のメロンやオレンジのコンフィを練り込み、アーモンドの葉を象った型に詰め、仕上げに純白のグラスロワイヤルをかけて乾かします。
カリソンをかじると、砂糖の上掛けがサクっシャリっと、そして中身はみっちりしっとりとしていて、アーモンドの香りが口いっぱいに広がります。大好きなお菓子の一つです!
さて、このお菓子の歴史を遡ると、12世紀のイタリアに辿り着きます。ラテン語で書かれた中世イタリアの書物の中に“calisone”と言う現在のマジパンに近いお菓子の記述があり、これが南仏に伝わりカリソンになったのではと言われています。
13世紀には、マルティオ・ディ・カナールと言うイタリア人の著書『ヴェネツィアの編年史』の中でヴェネツィアのスペシャリテとして、“calissons”の名前を引用しているのが見受けられ、当時ヴェネツィア商人の所有地であった、例えばクレタ島など場所では、アーモンドのペースト(マジパンに近いもの)にシナモンやクローブなどを加えた、カリソンの原型の様なお菓子が存在するそうです。
また語源としては、私の尊敬するオーボンヴュータンの河田シェフは、その著書『フランスの郷土菓子』の中で次のように紹介しています。
昔はすのこにのせて乾燥させたので、ラテン語のcanna(葦)からプロヴァンス語のcalissounやcanissoun(すのこ)が生まれ、語源になったとも言われる。
こうしてみると、現在のイタリア菓子や南仏のヌガーなど他のお菓子の様に、アーモンドをふんだんに使ったお菓子の多くは南の方からやって来ているのが分かります。西アジア原産のアーモンドが、ヨーロッパの入り口、ヴェネチアから入って来たことが理由と言えるでしょう。アーモンドの歴史についてもまた別回で詳しくやろうと思います!
それではいよいよ、カリソンにまつわる一番有名でロマンチックな言い伝えをご紹介しましょう。
時は1454年プロヴァンスのルネ王とジャンヌ・ド・ラヴェル王妃の結婚式の日でした。滅多に笑わないことで事で有名だったジャンヌ王妃でしたが、一口このお菓子を食べると、その美味しさから自然と笑みが溢れました。そこで王はこのお菓子をプロヴァンスの方言で「Di Calin soun!」=《“抱擁”と呼ぼう!》と言ったそうで、この事が転じて現在の「Calissons 」と言う名前になったそうです。
現在のフランス語でも、“câline”と言う言葉がありますが、これは、ハグというよりも、優しく撫でるように触れる意味があるので、ルネ王の愛を感じますね!そして実際にこの結婚式の模様を描いた絵が、プロヴァンスのサン・ソーヴール大聖堂に今もなお残されているそうです。
アーモンドや砂糖をふんだんに使用したリッチなこのお菓子は、このように古くから祭事に利用されていたようですが、その後も17世紀にペストがプロヴァンスで流行した際にも、カリソンが病に効いたと言う言い伝えもあります。これはカリソンが“神に祝福された神聖なお菓子”と言うことに加え、その高い栄養価が弱った人々に力を与えたからだと考えられます!
現在では色々な風味と色合いが存在するカリソン。
フランスでは南仏以外のスーパーマーケットやパティスリーでも買うことができます。また日本でも、フランスの伝統菓子を置いてあるパティスリーで見つけることが出来るでしょう。ぜひ未だ試したことのない方は、ロマンチックな歴史に思いを馳せつつ、この南仏の香りを楽しんでみてはいかがでしょうか?
それでは!
A bientôt ;)!!!
“Au Bon vieux temps” カリソンとコンフィズリー
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