フランスの中世のテーブルナプキン〜実用的アンティーク
- 2017/07/07
- お菓子史
Bonjour à tous !
今回は、食文化の歴史的変遷に注目です!
いきなりですが、職場のシェフパティシエに聞かれました。
『日本では食事の時に手を拭く “ふきん” があるんだよね?これはトラディショナルな文化なのかい?』
(おしぼりの事かな?)
ありますよ、色々な種類のレストラン、カフェにもありますよ。
と答えると、
『やっぱりそうなんだ!!ではそのナプキンは一体どれくらい前からあるの?』
おしぼりはいつから?
おしぼりは伝統的な文化だとは思っていたけれど、いつからあったかなんて考えてみたこともありませんでした…
ヨーロッパではどうだったのか。
食に関する歴史に詳しい彼が一冊の面白い本を貸してくれました。
その中には、食事中のナプキン文化に関する記事があり、それによると、古代、スパルタ人はパン屑で、ケルト人に至っては彼らが座っていた干し草の束で、食事中に汚れた口や手を拭いていたと言います。
そして中世、西ヨーロッパをほぼ統一したシャルルマーニュの時代(742~814年)、まだ現代の様なナイフ、フォークはないので、腰に下げていたナイフ(多目的用)で食べ物を切り、そのままナイフにさして口に運ぶか、手で食べていました。そして、その汚れたナイフ、手や口は何とテーブルクロスで拭いていたそうです…毎回の食事でクロスを変えられていたか疑わしいのもあり、汚い光景が目に浮かびます…!
さて最初のナプキンが発明されたのは13世紀。それはまだテーブルクロスほどの大きさがあり、棒によって壁から吊り下げられていて、人々は席を立ち、そこまで手や口を拭いに行っていました。
また驚くべきことには、そのナプキンで食事の残りを包んでいたと言います。現代の感覚で考えると、まだまだ汚く思われます…
さらに16世紀、アンリ3世の時代にナプキンは今日知られてるような形になり、またその製作所をダマスク織で有名なレンヌという街に設けたため、以前よりもずっとエレガントなナプキンが使われるようになりました。またフォークを食事に導入したのはイタリアから嫁入りしてきた、アンリ3世の母、カトリーヌドメディシスだったそうです。(フランス以前にイタリアでは普及)この頃から食べ方もよりエレガントになったのだと思われます。(*それ以前は手づかみが殆ど)ただ、この当時のナプキンの使い方は今と違っていて、今よりも少し大判のその両端を、首の後ろで結び、よだれ掛けの様にして使用していました。これは、この時代の貴族の衣装の定番である、首回りのヒダ状の大きな飾り襟を汚さないのに大変役立ったそうです。
いよいよ現代のように膝の上にナプキンを置くスタイルですが、これはルイ14世の頃。
この頃にはナイフとフォークを使っての食事が定番化して、上流階級の家庭であれば、ダマスク織の、更には家名のイニシャルが入った美しいナプキンを当たり前に持っていたと言います。
そして、なんと。私は今回希少なアンティークのナプキンを上司から頂いてしまいました!(しかも5枚組!)
リネンの生地に、繊細なダマスク織の模様とイニシャルの刺繍が入った、古いものだけれども、今尚丈夫で綺麗なナプキンでした。高価ではありますが、今でもアンティークショップやインターネット上で購入することが出来ます。根気強く探せば、自分のイニシャル入りが見つかるかも知れません。
詳しくは何世紀のものかは分かりませんが、日本から持ってきたお弁当用風呂敷と比べてみても分かるように、現代のものよりも少し大きめなようです。
ナプキンや食器の進化とともに、人間の食事の仕方もより文化的にエレガントに進化してきたと言えるでしょう。
せっかくの美しいナプキン。なるべく汚さない様に気を付けながら、なにか美味しくて少し特別な食卓を囲みたいものです…
それではまた、
A bientôt ;)!!
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