【フランス】スパゲッティ・アル・ブーロ(バターパスタ)についての覚書

【フランス】スパゲッティ・アル・ブーロ(バターパスタ)についての覚書

ボンジュール、パリマセのたーしーです。フランスでは自炊でパスタをよく食べます。そんな今日は、「スパゲッティ・アル・ブーロ」(Spaghetti al burro)について書いてみました。

「スパゲッティ・アル・ブーロ」(Spaghetti al burro)とは

「スパゲッティ・アル・ブーロ」=バターパスタ

「スパゲッティ・アル・ブーロ」(Spaghetti al burro)。フランス語だと「パット・オ・ブール」(Les pâtes au beurre)。つまりはバターパスタのことです

その名の通り、バターパスタの作り方はとってもシンプル。茹でたパスタにバターをあえる。そこにチーズでもかけたら、立派な「スパゲッティ・アル・ブーロ」の出来上がりというわけです。簡素なバターパスタなのですが、「スパゲッティ・アル・ブーロ」と呼ぶとなんだか仰々しく聞こえるのが不思議です。

フランスでもよく食べられている「スパゲッティ・アル・ブーロ」

「スパゲッティ・アル・ブーロ」という呼び方はイタリア語なわけですが、上で触れたように、フランスでも「パット・オ・ブール」を食べている人をみかけることが少なくないです。お弁当として大学や図書館に持ってきている人もいるし、夜ご飯として寮でつくって食べている人をみかけたこともあります。

バターパスタを食べるのは学生だけではありません。ご家庭の夕飯に、一品として食卓に出てくることだってあるのです。

「スパゲッティ・アル・ブーロ」と伊丹十三

スパゲッティの「正しい調理法」

そんなバターパスタこと「スパゲッティ・アル・ブーロ」は、日本語だと、伊丹十三のエッセイで取り上げられています。『ヨーロッパ退屈日記』の真ん中のエピソードや、『女たちよ!』のはじめの方のエピソードで、スパゲッティの「正しい調理法」を知らせるために彼は「スパゲッティ・アル・ブーロ」について語っているのです。

曰く、鍋にたっぷりの水を入れて熱する……アルデンテで茹で上げる……適当なチーズ(パルミジャーノが良い)を食べる直前にふりかける……等々。伊丹十三によれば、お蕎麦の「もり」のようなものが、「スパゲッティ・アル・ブーロ」なのです。

このような「正しい調理法」を説明した後、彼は次のように述べています。

つまり、スパゲッティというのは、白くて、熱くて、つるつるして、歯ごたえがあって、ピカピカしたものなのです。

(伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』、新潮文庫、2005年、112頁。)

なるほど、たしかにフランスでパスタを食べると、場合によっては麺が柔らかすぎるときがありますね。「そんなものはパスタではない!」といういのが彼の意見なのでしょう。この点は個人的に同意ですね。

日本のパスタはパスタではない!?

ついでに書いておくと、伊丹十三は日本流のパスタについてなかなか手厳しくコメントしています。パスタの作り方もそうですが、彼の映画に出てくるスパゲッティを食べるシーンを思い出すと(『タンポポ』に思わず笑ってしまうシーンがありますね)、その食べ方についてもからかっているように思われます。

ただ、この点に関しては個人的には違う意見をもっています。だって、ナポリタンも和風パスタも美味しいですもん(笑)

ソースをかけてもOK、でもそのせいで……

また、伊丹十三は、バターの代わりに「トマトのソース」(「鍋にオリーヴ油とバター半々を熱し、大蒜の潰したもの、葱、パセリのみじん切りを入れ、次ぎに潰したトマト、月桂樹の葉一枚、塩、胡椒、タバスコ少量を加えてとろ火で気長に煮る」、『女たちよ!』、23頁)や、「浅蜊のソース」(「トマトのソース」に浅蜊のむき身を入れてから二分くらい熱したもの、『女たちよ!』、23頁)なんかをかけても良いと書いています。

ソースをかけても良い、というよりむしろ、なんとなくさみしくて個人的にはソースをかけたくなってしまいます。そのせいで(?)、「スパゲッティ・アル・ブーロ」を実はつくったことがありません。せっかくだから、急いでいるとき、あるいは疲れているときに、今度食べてみようかなと思います 🙂

後は、イタリアに行ったことがないので、いつか本場のパスタを食べてみたいな〜。

トマトソースのパスタ
バターパスタを作ろうとして、トマトソースのパスタになってしまった図。