【ベストセラー】サリー・ルーニー『ふつうの人々』のフランス語訳が出たようだ

【ベストセラー】サリー・ルーニー『ふつうの人々』のフランス語訳が出たようだ

ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。サリー・ルーニー『ふつうの人々』のフランス語訳が出たという嬉しいニュースを読みました。ミレニアル世代の若い作家の世界的なベストセラー小説について、メモがてらブログ記事にしました。

サリー・ルーニー(Sally Rooney)について

サリー・ルーニー(Sally Rooney)は、アイルランド出身の小説家。1991年2月20日生まれで、先日30歳の誕生日をむかえたようだ。Télérama にも記事がアップされていた。

Sally Rooney, 30 ans, deux romans et un succès fulgurant(サリー・ルーニー、30歳、二冊の小説と輝かしい成功)

https://www.telerama.fr/livre/sally-rooney-trente-ans-trois-romans-et-un-succes-fulgurant-6832452.php

プレカリアート(※)のジェーン・オースティン」「スナップチャット世代のサリンジャー」というキャッチコピーに興味がひかれないわけがない。実際にどういう作品を書いているのか。処女作『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』二作目『ふつうの人々』のあらすじをみてみたい。

(※)プレカリアートという言葉は、1990年代以後に急激に増えた不安定な雇用・労働状況における非正規雇用者および失業者の総体のことで、「不安定な」(précaire)と「プロレタリアート」(prolétariat)の組み合わせでできている。

『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』について(Conversations with Friends)

彼女の処女作は『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』というタイトル。あらすじは以下のようなもの。

ダブリンに暮らす、文学をやっている二人の学生が、ある年上の芸術家のカップルに惹かれていくという話。

ポリアモリー(※1)、フェミニズム、社会人になること……三ヶ月で書かれたこの小説は、ミレニアル世代(※2)のリアルな関心事について語っている

(※1)ポリアモリー(poliamour ): 関与する全てのパートナーの同意を得た上で、複数のパートナーとの間で親密な関係を持つこと、あるいは持ちたいと願うこと

(※2)ミレニアル世代(Milenials) : 1980年代序盤から1990年代中盤(または2000年代序盤)までに生まれた世代のこと。インターネット普及前の時代に生まれた最後の世代で、幼少期から青年期にIT革命を経験したデジタルネイティブの最初の世代でもある)

なにこれ。めっちゃ面白そう、読みたい。読まないと。

フランス語題はそのまま”Conversations entre Amis”。最近、『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』という題で日本語訳も出たそうだ。

『ふつうの人々』について(Sally Rooney, Normal People)

そんなサリー・ルーニーの二作目である『ふつうの人々』は世界的なベストセラー。なんと100万部を売り上げたらしい。この本の売れない時代にすごいことだ。

『ふつうの人々』のあらすじが、出版社の Éditions de l’Olivier のサイトに掲載されていた。意訳すると以下のような内容。

コネルとマリアンはアイルランドの同じ街で育った。コネルは高校(リセ)の人気者で、マリアンは少々不器用で孤立している。また、コネルはシングルマザーである掃除婦(femme de ménage)の息子である一方で、マリアンは裕福な家で育っている。そんな二人は、互いに次第に惹かれ合っていく。

一年後、マリアンヌはダブリンのトリニティ・カレッジ(ダブリン大学)で華のある女性となるが、それと対照的にコネルは大学生活に上手く馴染めていない。

ある一日はすべてが上手くいき魅力にあふれているが、その翌日には問題が起こり感情が揺らぐ。コネルとマリアンの二人の間でのゲームははじまったばかりなのだ。

若い時分に見に覚えのあるようなやり取りが描かれた『ふつうの人々』は青春、友情、性についての素晴らしい小説である。またこれは、夢見る権利がないけれども、それでも希望を持ちたいという世代のさまよう感情や知性を描いた小説なのだ。

出典: Éditions de l’Olivier, http://www.editionsdelolivier.fr/catalogue/9782823615241-normal-people

『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』と同じく、いわゆる若い世代(ミレニアル世代、ジェネレーションY)の実情を描いたもののようだ。やっぱり同世代のことが(人に)書かれた本ってどうしても気になってしまう。正直、英語だと読むのが少し大変そうだったので、フランス語訳が出てくれて嬉しい。早く読みたいな。

ドラマ版『ふつうの人々』

ちなみに『ふつうの人々』にはドラマ版もあり、昨年アイルランドで放送されていたようだ。マリアンとコネルはそれぞれ、デイジー・エドガー=ジョーンズとポール・メスカルという俳優が演じた。ドラマ版についてはすでにウィキペディア他にウェブページがあるのでそちらを参照されたい。

三作目は2021年9月出版予定

なんか最近は小説を読んでいなかったし、ベストセラーだし、この機会に『ふつうの人々』は読んでおきたいなと思う。

ちなみに三作目の出版が決まっているらしい。タイトルは “Beautiful World, Where Are You”。調べた情報が正しければ、今年2021年の9月にアメリカとイギリスで出版予定とのこと。9月までには『ふつうの人々』も読み終わっているだろうが、さすがに仏訳はもっと先だろうな。

自分と同世代の作家が活躍しているのを見ると嬉しいし、自分も年をとったなと思うし、おこがましいのだけれど、もっと頑張らないとなと思う。