【5月1日】ロベール・デスノス「すずらん」、メーデーに読みたいフランス詩
- 2020/05/02
- 文学・詩など
Bonjour à toutes et à tous ! パリパリマセマセのたーしーです。
5月1日、メーデー(Fête du travail)かつすずらんの日(Fête du muguet)ですね。
今日はこの日にふさわしいポエム、ロベール・デスノス「すずらん」を紹介します!
ロベール・デスノス「すずらん」 Robert Desnos “Le Muguet” 原文と訳
ロベール・デスノス「すずらん」 原文引用
Un bouquet de muguet,
Deux bouquets de muguet,
Au guet ! Au guet !
Mes amis, il m’en souviendrait,
Chaque printemps au premier mai.
Trois bouquets de muguet,
Gai ! gai !
Au premier mai,
Franc bouquet de muguet.Robert Desnons, Chantefables et chantefleurs
ロベール・デスノス「すずらん」 試訳
すずらんの花束ひとつ、
すずらんの花束ふたつ、
耳をすまして! 耳をすまして!
友よ、ぼくは思い出すだろう、
毎年春の五月のはじめ。
すずらんの花束みっつ、
愉快や愉快! るるるるるー!
5月のはじめ、
陽気や! 陽気!
まっすぐの気持ち すずらんのブーケ。
ロベール・デスノス「すずらん」 プチ解説
ロベール・デスノスという詩人は名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。
最初、1924年に詩人のアンドレ・ブルトンによってはじめられた芸術、文化運動の「シュルレアリスム」の主力メンバーとして活躍した詩人です。ほどなくしてこの運動からは袂を分かち、その後は詩とメディア(ラジオ)の関係性に目を向けたり、子どものための詩に注力したり、レジスタンス詩を書いたりしました。
しかし、レジスタンスに参加していたために第二次大戦中にゲシュタポに捉えられます。最終的には収容所から解放されますが、既に時遅し、患っていたチフスにより命尽きてしまうのです。
この「すずらん」は、収容所にいる人たちを元気づけるために作られたとのことです。自分の大切な人にすずらんのブーケを贈る5月1日、つまりすずらんの日(Fête du muguet)ですが、その日にこういう詩を読んでみると色々と考えるきっかけになりました。
おわりに――ポエムのある生活
何を隠そう私はポエムの研究をしているので、詩には並々ならぬ(?)思いがあります。
日本には「根拠のないこと」を「ポエム」と称して揶揄する人もいるようですが、詩は――それが意図的であれ、偶然であれ――非常に細かな部分にまで注意を払われた言語芸術で、実は、妄想や絵空事の反対にあります。にもかかわらず前述したような揶揄がいまも少なくないのは、それだけ詩が日本人にとって馴染みのないものであることの証左なのかもしれません。
でも、誕生日や記念日、そしてすずらんの日(Fête du muguet)のような祝日にポエムがあると、世界の見方も変わるかもしれません。また、一日をよりいっそう豊かにしてくれるかもしれません。ですので、気が向いたら一篇の詩をじっくり読んでみてほしいです 🙂
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