フランス語ラップ(ラップフランセ)が漫画・アニメからの引用の宝庫だった件
- 2021/05/13
- 文学・詩など
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。クールジャパンなんて言葉もありますが、日本の漫画・アニメは世界中で人気があります。フランス語ラップ(ラップフランセ)の中にも、たくさんの日本産コンテンツの名前が出てくるってご存知ですか?? 本当に数え切れないくらいあるので一部ですが、今日は、漫画・アニメが引用されたフランス語ラップ(ラップフランセ)をまとめてみました!
グレンダイザー Goldorak
かつて視聴率がほぼ100%に達したフランスで超人気ロボットアニメ
フランスでは、『ガンダム』を全く知らない人がほとんど。『エヴァンゲリオン』も日本ほど人気はない。しかし、どういうわけか人気なのが『UFOロボ グレンダイザー』。『マジンガーZ』、『グレートマジンガー』と世界観を共有した、永井豪原作のロボットアニメです。フランス語名は『Goldorak(ゴルドラック)』と言います。
『グレンダイザー』の人気について、話は1978年7月にさかのぼります。現在の『フランス2』である Antenne 2 で放送された『グレンダイザー』はその視聴率がほぼ100%に達するときすらあり、一大ブームとなったようです。宮崎駿よりももっと早く、大人気となった日本のロボットアニメだったというわけです。そういうわけで、いまだにフランス語のラップにも名前が挙げられるわけですね。
グレンダイザーに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- AlKpote, MongolDorak
- Hayce Lemsi, Gennaro
- Joke, Scorpion Remix ft. Mc Tyer et Niro
- Kekra, Résine
- TSR CREW, Tu connais le tarif
キャプテン翼 Olive et Tom
世界的に大人気なサッカー漫画
世界的に大人気なサッカー漫画『キャプテン翼』。ヨーロッパのプロサッカー選手のなかにもこの漫画・アニメのファンが多くいるようです。この『キャプテン翼』、フランス語題は『Olive et Tom』と言います。さて、誰が「オリーヴ」 で誰が「トム」なのでしょうか。
「オリーヴ」ことOlivier Atton は主人公の大空翼です。じゃあ「トム」ことThomas Priceは誰?? 翼の相棒の岬くん!?
……と思いきや、「トム」はGKの若林源三なのです。ちなみに「オリーヴはみんな知っているけど、トムが誰なのかを知るひとはいない」とベルギー出身の友だちは言っていました(笑)
キャプテン翼に関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- Chris Karjack, Rentre dans le Cercle
- Dinos Punchlinovic, 4ème Capsule
- $-Crew, Ma force
デスノート DEATH NOTE
フランスでも大人気の話題作
ノートに名前を書かれたものは死ぬ、という衝撃的な内容の『デスノート』はフランスでもかなり人気な印象です。ある友人は、椅子の上に足を上げた座り方をして「Lみたいでしょ」とニヤニヤしていました(笑)
デスノートに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- Dinos, On meurt bientôt
- Lujipeka, Yro (Columbine), Fleurs Du Mal
- Josman, Whisper
- Tengo John & Ocho, Noirceur Totale
- Kekra, Boombastick
最後の Kekra, Boombastick の中には、『デスノート』原作を思い起こさせる以下のような歌詞まであります。
Élimination comme Death Note / J’écris, tu meurs: Kira
デスノートのように削除 / 俺が書くと、お前は死ぬ。キラだ。
聖闘士星矢 Chevaliers du Zodiaque
フランスでも流行したオリジナル性の高いアニメ
『聖闘士星矢』もフランスで人気のあるアニメのひとつ。フランスというか、世界的に人気なのかな? アニメの話題になると、パリで知り合った多くの人たちがこのアニメに言及していました。フランス語題は Chevaliers du Zodiaque です。
実は『聖闘士星矢』については筆者はよく知らないので、いずれまとめて読むか観るかしないとなぁと思っています。
聖闘士星矢に関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- MZ, OG’s
- Alkpote, Zone mortuaire
ポケモン Pokémon
世界中の誰もが知っているポケモンのフランス語ラップ!
世界中のみんなが大好きな『ポケモン』! もちろんフランスも例外ではありません。ついこの前も、マクドナルドの「ハッピーセット」(フランスではHappy Mealと呼ぶ)とコラボしていました。
ポケモンに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- Alkpote, Purification
- 7 JAWS, A380 EMIRATES
- Limsa d’Aulnaie, Prologue
- Dinos Punchlinovic & Maud Elka, Buzz l’éclair au chocolat
- Cuba, Hamza
下3つの楽曲には「ピカチュウ」の名前がそのまま引かれていますが、この人気ポケモン以外にも、ポケモンの名前は多くフランスのラップの中に挙げられています(ヒトカゲ = Salamèche 等)。
また、Young Thug, Picacho feat. Maceo のような楽曲のタイトルがそのままポケモンのものや、Youv Dee, Opening のようなポケモンのBGMがサンプリングされている楽曲もあるようです。
ワンピース ONE PIECE
長年に渡って週刊少年ジャンプの看板をつとめている『ワンピース』。もはや説明不要のこの超人気漫画は、フランスでも人気があるようです。
1995、 Alpha One、Orlesan などなど、個人的によく聞いていたラッパーたちも『ワンピース』に関する語をリリックにのせています。
ワンピースに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- 1995, Milliardaire
- Alpha One, Cascade
- Damso, M. Noob Saibot
- Freeze Corleone, Fléau
- Orlesan, 2010
オススメなのは Orlesan, 2010。
Konichiwa, je suis de retour, depuis six mois je m’isole / J’ai regardé One Piece huit fois, les 460 épisodes
こんにちは、6ヶ月間の引きこもりから戻ってきたぜ / 460話もある『ワンピース』を8回も観てやったぜ
という歌詞が印象的なので、ぜひ一度聞いてみてください 🙂
ナルト NARUTO
「ナルト」「木の葉」「うちは」等、たくさんの名前をフランス語ラップで聞く!
同じ週刊少年ジャンプ漫画でも『ワンピース』以上にフランスで人気なのが、『ナルト』。「ニンジャ」という言葉は、フランス語でも Ninja としてそのまま使われています。
Nekfeu, Réalité augmentée など、「木の葉」という言葉をリリックに入れるラッパーも少なくないようです。さらには「うちは」という固有名詞を入れている Freeze Corleone, Madara や Alpha One, Turban のような楽曲もあります。
余談ですが友人のひとりが「日本で忍術を習っていた」と豪語しているので、いずれもっと詳しく話を聞いてみたいと思います。
ナルトに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- Nekfeu, Réalité augmentée
- Sexion d’Assaut, Wati-Bon Son (feat. Dry)
- AlKpote ft. Anissa Mahboula, Enfant terrible
- Freeze Corleone, Madara
- Alpha One, Turban
ドラゴンボール DRAGON BALL
フランスでも大人気のアニメで、一番名前が挙げられているのは……
なんといっても『ドラゴンボール』が大人気。アニメも放送されていたようで、アニメや漫画だけでなく、ゲームやその他メディアとのコラボも盛んでした。
ちなみに登場人物の中でもっとも名前が引かれるのは、孫悟空ではなく、ベジータがだそう。
ナルトに関係するフランス語ラップ(ラップフランセ)
- Kalash criminel, Rémy & Hornet La Frappe, La maille
- Laylow, Lime
- PNL, Simba
まとめ
いかがだったでしょうか。日本の文化・コンテンツの名前ががそのままフランス語の作品の中に取り入れられているのは嬉しいことです。
今回は「日本語コンテンツ×フランス語ラップ」という組み合わせに注目したのですが、さまざまなコンテンツを通じてフランス語に触れる機会が増えてくれたらいいなと考えています。
いちおう私の仕事はフランス語とフランス詩を教えること(になるはず)なので、いかにそれが難しくても、詩に関心をもってくれる人が増えてくれると嬉しい。でも、いきなり「じゃあ明日までに “Demain, dès l’aube” 読んできてね〜」といっても、いきなりフランス詩そのものに興味を持ってもらうのは難しいじゃないですか。
もちろん一緒に読んだり、コンテクスト等を説明したりすると、詩に興味を持ってくれる方も多いですが、なかなかそういう時間をつくるのも大変ですよね。
それに、そもそもフランス語そのものに関心を持ってくれる人を増やさないといけない。だったら、フランス語にハマるきっかけが、いろいろなところに転がっていたらなと思うのです。
GAFA時代を生きる我々としては「フランス詩 / フランス語×○○」というキーワード的な思考が必要なのかもしれません。また何か面白い組み合わせをみつけたらパリマセに書くので、ぜひぜひチェックしてみてください!
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