フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall, “Un prince charmant”)〜フランス語の歌詞を読み解釈する
- 2020/12/25
- 文学・詩など
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。
フランス語の音楽紹介、歌詞を読んでみようのコーナーです。今日は、フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant)という曲を紹介します。フランス語の歌の解釈のために、歌詞の原文引用と試訳もしてみました。
フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant) 歌詞原文と試訳
フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant) 歌詞原文引用
(couplet 1)
Un prince charmant sur un cheval blanc
Galopait dans mes rêves d’enfant
Dès que je dormais je le retrouvais
Et alors il m’emmenait
Au fond des forêts il avait un palais
Où déjà sa mère m’attendais
Vite on m’habillait et vite on me coiffait
À minuit, il m’épousait
(refrain)
Tu sais il ne faut pas m’en vouloir
J’avais à peine 15 ans
Non tu sais il ne faut pas m’en vouloir
Ce n’était qu’un prince charmant
(couplet 2)
Un prince charmant sur son cheval blanc
Galopait dans mes rêves d’enfant
S’il était blessé je le caressais
Et mon prince guérissait
Par amour pour moi il devenait Roi
Quand on aime on fait n’importe quoi
Toi tu deviendras ce que tu pourras
Je ne t’aime pas pour ça
(refrain)
Tu sais il ne faut pas m’en vouloir
J’avais à peine 15 ans
Non tu sais il ne faut pas m’en vouloir
Ce n’était qu’un prince charmant
(couplet 3)
Un prince charmant sur son cheval blanc
Galopait dans mes rêves d’enfant
Tu m’as fait danser,
Tu m’as embrassé
Et ma vie a commencé
Oui je t’aimerai, je t’épouserai
Mais pourtant je n’oublierai jamais
Le prince charmant sur son cheval blanc
Mes beaux rêves et mes 15 ans
フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant) 歌詞試訳
あるすてきな王子様が白馬に乗って
子供の頃のわたしの夢の中で駆けてたの
眠ったらすぐに彼に会って
私を連れてったの
森の奥に王子様は王宮をもっていて
そこでもう彼のお母様が私を待ってたの
私をすばやく着つけ髪を整え 0時には結婚したわ
ねえ 怒っちゃだめよ
私 15歳ぽっちだったんだから
ねえねえ 怒っちゃだめだってば
すてきな王子様だっただけなんだから
あるすてきな王子様が自分の白馬に乗って
子供の頃のわたしの夢の中で駆けてたの
もし彼が怪我したらいたわってあげたわ
そしたら私の王子様は元気になったの
私のことが大好きだったから 彼は王様になったわ
愛し合ってたらなんでもできるのよ
あなたは あなたがなれるものになるでしょうね
だから好きじゃないんだけどね
ねえ 怒っちゃだめよ
私 15歳ぽっちだったんだから
ねえねえ 怒っちゃだめだってば
すてきな王子様だっただけなんだから
あるすてきな王子様が自分の白馬に乗って
子供の頃のわたしの夢の中で駆けてたの
私を踊らせてくれて
私に口づけしてくれた
私の人生は そしてはじまったの
そうね あなたのこと好きになるだろうし あなたと結婚するでしょう
でもね 私は絶対忘れないの
自分の白馬に乗ってやってきたあのすてきな王子様と
私の美しい夢と私の15歳を
フランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant) 解釈
フランス・ギャルは、日本で有名なフランスの歌手のひとりではないでしょうか。なんといっても、「夢見るシャンソン人形」(Poupée de cire, poupée de son) がよく使われていますよね。弘田三枝子カヴァーの「私は夢見るシャンソン人形〜♪」という歌詞も知られている方だと思います。
もちろんフランス人の中でも「夢見るシャンソン人形」(Poupée de cire, poupée de son) を知っている人のほうが多いですが、この歌と同じくらい有名なのがフランス・ギャル「すてきな王子様」(France Gall – Un prince charmant)です。事実、私が「フランス・ギャルとか聞いてたよ〜」というと、「ああ、Un prince charmant sur un cheval blanc / Galopait dans mes rêves d’enfant〜♪ の人ね」と返されることもあったり。
さて、この歌で面白いなと思うのは、(couplet 2) の以下の箇所。
Par amour pour moi il devenait Roi (私のことが大好きだったから 彼は王様になったわ)
Quand on aime on fait n’importe quoi (愛し合ってたらなんでもできるのよ)
Toi tu deviendras ce que tu pourras (あなたは あなたがなれるものになるでしょうね)
Je ne t’aime pas pour ça (だから好きじゃないんだけどね)
この “tu” としてあらわれるのは今の恋人で、”le prince charmant” と比較されているのでしょう。“je”(=歌い手の女の子)への愛ゆえに、 王子様は王様に(=国家や民族の最高支配者)なったわけです。
一方、今の恋人である “tu” はどうやっても王様になることはできません。それを皮肉っぽく、”Toi tu deviendras ce que tu pourras”と歌うわけです。つまり、「あなたがなれるものになるでしょうね」とは「あなたがなれるものにしかなれない」ことの裏返しなのかなと思います。それで “Je ne t’aime pas pour ça (だから好きじゃないんだけどね)” なんて言われたら je t’en veux ですけどね(笑)
……という私の解釈ですが、別の意見があればご遠慮無く、お待ちしています!
ちなみに “pour ça” というのは特に話し言葉で非情によく使う言い回しなので覚えておくと便利だと思います 🙂
C’est pour ça que je vous présente cette chanson ! (違)
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