ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”)〜フランス語の歌詞を読み解釈する〜

ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”)〜フランス語の歌詞を読み解釈する〜

ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。

フランス語の音楽紹介、歌詞を読んでみようのコーナーの更新です。今日は、ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”)という曲を紹介します。外国語学習者は、色々と考えさせられる内容の楽曲だと思います

ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”) 歌詞原文と試訳

ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”) 歌詞原文引用

(couplet 1)

めちゃ

Je voudrais te connaître

Je voudrais que l’on se comprenne

Mais je ne parle pas ton langage

Tu ne veux pas perdre ton temps avec moi

めちゃめちゃめちゃめちゃ

Je voudrais disparaître

Quand on ne peut pas communiquer

Car je ne parle pas ton langage

Je voudrais savoir qui tu es,

 

(refrain)

めちゃ

言葉の意味

調べようとしてるの

翻訳したって意味なんてないわ

超えてゆくの

音楽の恋を さあ

言葉の壁を砕いて

 

(couplet 2)

めちゃ

Je veux savoir qui tu es

Tu sais que je ne peux pas comprendre

Mais tu peux lire dans mes yeux

Pas besoin de mots pour ressentir

めちゃめちゃめちゃめちゃ

Quand tu bouges, tu me touches

Car tu parles avec tes mains

La traduction est étrange

Je n’veux pas te laisser partir

 

(refrain)

めちゃ

言葉の意味

調べようとしてるの

翻訳したって意味なんてないわ

超えてゆくの

音楽の恋を さあ

言葉の壁を砕いて

ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”) 歌詞試訳

めちゃ

僕は君を知りたいんだけど

理解し合いたいんだけど

でも君の言葉を話せないんだ

僕と一緒にいて君は時間を無駄にしたくないんだ

めちゃめちゃめちゃめちゃ

僕は消えちゃいたい

コミュニケーションできないときは

だって僕は君の言葉を話せないんだ

僕は君が誰か知りたいんだ

 

めちゃ

言葉の意味

調べようとしてるの

翻訳したって意味なんてないわ

超えてゆくの

音楽の恋を さあ

言葉の壁を砕いて

 

僕は君が誰か知りたいんだ

知ってるだろ 僕は理解できないけれど

僕の両眼から君は読み取ることができるだろ

感じるために言葉なんていらないんだ

めちゃめちゃめちゃめちゃ

君が動くと僕に触れる〔嬉しい〕

だって君は両手を使って話しているから

翻訳なんておかしいよ

僕は君を行かせたくないんだ

 

めちゃ

言葉の意味

調べようとしてるの

翻訳したって意味なんてないわ

超えてゆくの

音楽の恋を さあ

言葉の壁を砕いて

 

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ムードイド&水曜日のカンパネラ「言葉」(Moodoïd & Wednesday Campanella, “Langage”) 解釈

ムードイドについて

ムードイドは、2013年に結成したフランスのサイケデリック・ロック・バンド。フロントマンは、パブロ・パドヴァーニ Pablo Padovani です。お父さんがジャズ奏者のようです。

2018年のサマソニにも出ていたようで、日本でも知名度は高い方なのかな??と思います。

「他者」とは、「言葉」とは

さて今回の楽曲、ムードイドは水曜日のカンパネラとコラボレーションしています。パブロ・パドヴァーニは何度か日本に行ったことがあり、滞在中のある日、水曜日のカンパネラを紹介してもらったようです。

MVをご覧になった方はお気づきのように、ビデオにも和訳がつけられています。ので、あまり私が試訳を作る意味は無いかなと思ったのですが、ひとまずやってみました(笑)

さて、滞在を通じて日本の文化や生き方に興味が湧いたパドヴァーニ。2018年に発表された『シテ・シャンパーニュ』というアルバムには多かれ少なかれこれらの経験が影響を与えたわけですね。今回紹介した水曜日のカンパネラのコムアイと一緒に歌っている「言葉」(”Langage”)では、ひとりのフランスのミュージシャンから見た日本人像が表されています。楽曲について、パドヴァーニは次のように語ります。

「Langage」はコミュニケーションにおける問題についての歌なんだ。僕と同じ言語を喋らない人たちとの間でこれまで生じたことがある障害なんだけど、相手のことを理解できなければ、時にその人との関係性はより複雑なると思う。どこか奇妙で、不条理で詩的、そしてより直接的なことが起こる関係性。僕はこういった事に非常に敏感で、時々人との関わり方において何かを見落としているような気持ちになるんだ。このビデオでは僕の脳裏にいつもあるそんなテーマに、ユーモアを持ってアプローチしたいと思った。このビデオでは、僕が日本人や日本の文化に触れた時に感じるこのフィーリングを表現したかったし、コムアイと単なるロマンティック・コメディーを作ることだけは避けたかった。そこで西洋では全く知られていないけど、日本の民話によく出てくる有名な生き物である「河童」を僕のアイディアを擬人化させたものとしてシニカルに登場させることを思いついたんだ。日本人にとってこのビデオは、あるフランス人が日本の文化を理解しようと試みるストーリに見えるかもしれない。フランス人には、奇妙な生き物と対話することの不可能性を想起させるかもしれない。時に見知らぬ人とコミュニケーションを可能にするシンプルな解決方法はその人と同じ場所から来た生き物に変身することなのかもしれないよ。(「ムードイド&水曜日のカンパネラ、全編東京で撮影した「Langage」のMVを公開」、2021年1月6日閲覧)

MVの中に出てくる「河童」は、超常的で怪奇的な生き物。日本語がわからないパドヴァーニは、日本人と接するとき、まるで未知なるものと対峙しているかのように感じていたのかもしれません。

これって何もフランスからみた日本だけの話ではなく、日本からみた諸外国にも言えることですよね。フランス語をはじめとする外国語学習は習熟に時間がかかる上、外国語話者と話していて内容がわからないときは多々あります。それこそ「消えてしまいたい」と思うことも何度もあります。

しかし、そうだとしても、表情やジェスチャー等で相手とコミュニケーションすることはできるのです。一番大切なのは、相手のことを理解したい! という強い気持ちと一生懸命伝える姿勢なのではないかなと改めて思いました。

私は言葉を信じています。だから歌詞にあるように翻訳が不要とは決して思いません。しかし、MVラストでコムアイが以下のように言う気持ちはわかる気がします。

フランス語とフランス語だって、日本語と日本語だって、全然意味通じてないこといっぱいあるでしょ。

人と人の関わりは、ときに、言葉の意味を置き去りにする場合があります。これは大変興味深いですね 🙂