ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”)〜フランス語の歌詞を読み解釈する〜
- 2020/12/27
- 文学・詩など
ボンジュール、パリパリマセマセのたーしーです。
フランス語の音楽紹介、歌詞を読んでみようのコーナーです。今日は、ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”)という曲を紹介します。
ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”) 歌詞原文と試訳
ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”) 歌詞原文引用
(couplet 1)
Solo dans ma peau, sur la plage.
Je me la joue mélo, je drague les nuages.
Solo dans ma fête, c’est dommage.
A deux c’est tellement chouette de fumer des cigarettes, sur la plage.
Solo dans le bateau, je mets les voiles.
Mais solo je prends l’eau, des matelots.
(refrain)
Où es-tu mon alter, où es-tu mon mégot ?
Pour moi t’étais ma mère mon père mon rodéo.
Je traverse le désert, l’amour en solitaire.
Reviens moi mon alter, reviens moi héros.
Je veux retrouver ma terre. ma bière et mon tricot.
Plus traverser le désert, l’amour en solitaire.
(couplet 2)
Solo sur mon île, sur ma plage.
Je me tiens plus qu’à un fil, je ramasse mon coquillage fragile.
Solo dans ma gueule je peux plus voir.
Te voir dans toutes ces gueules en miroir
(refrain)
Où es-tu mon alter, où es-tu mon mégot ?
Pour moi t’étais ma mère mon père mon rodéo.
Je traverse le désert l’amour en solitaire.
Reviens moi mon alter, reviens moi héros.
Je veux retrouver ma terre ma bière et mon tricot.
Plus traverser le désert, l’amour en solitaire.
(couplet 3)
Solo je danse le slow sur ta plage.
Je m’enroule dans les flots, solo je fais naufrage
Mais dans le fond je m’en fous, c’est pas grave.
Sans toi je devenais floue, un point c’est tout.
ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”)
歌詞試訳
私は独り、浜辺で。
メロドラマを演じて、雲をひっかけるの。
パーティーで独り、それは残念ね。
二人ならタバコを吸うのもとっても素敵、浜辺で。
船で独り、私が帆を掲げたの。
でも独り私は水をすくうの、水夫さんたち。
もうひとりの私はどこ、私の吸い殻はどこ。
私にとってあなたは母であり父でありロデオなの。
砂漠を渡るわ、愛は孤独なの。
帰ってきてもうひとりの私、英雄たち。
私の土地やビールやニットをまた見つけたいの。
もう砂漠を渡らないわ、愛は孤独なの。
私の島に独り、浜辺で。
もう、一本の糸だけを大事にするの、壊れやすい貝殻を集めるわ。
私は独り、もう何も見えない
鏡でできたすべての口の中にあなたがもう見えない。
もうひとりの私はどこ、私の吸い殻はどこ。
私にとってあなたは母であり父でありロデオなの。
砂漠を渡るわ、愛は孤独なの。
帰ってきてもうひとりの私、英雄たち。
私の土地やビールやニットをまた見つけたいの。
もう砂漠を渡らないわ、愛は孤独なの。
独りスローを踊るの、あなたの浜辺で。
流れに飲み込まれ、独り遭難するの。
でも心の底ではどうでもいいの、大したことじゃないの。
あなたがいないと私の輪郭はぼやける。はい、これでおしまい。
ジュリエット・アルマネ「孤独の愛」(Juliette Armanet, “L’Amour en solitaire”) 解釈
ジュリエット・アルマネ 紹介
ジュリエット・アルマネはもともとジャーナリストとして6年勤めていて、Arte や France Culture でドキュメンタリーの制作等をしていました。そして、2017年にアルバム『プティット・アミ』(Petite Amie)でデビューし、人気歌手に。2018年にはイヴ・シモンの “Génération(s) éperdue(s) ” 企画にも参加していますね。
« Solo dans ma peau » をどう訳すか
Solo をどう訳すか
美しい旋律が印象的な曲ですが、今回改めて聞いていて難しいテクストだなぁと思いました。冒頭、« Solo dans ma peau » から迷いました。solo はもちろん「独唱/独奏」を意味する音楽関係の言葉です。だから「独り歌う」という風に訳しても良かったのかもしれません。
実際これは歌詞で、メロディーのついた詩なのであり、”je” が “chanteuse” (つまり歌い手であるアルマネ本人)であるとするなら、歌っているわけですからね。しかしそこまで確信を持てなかったので、ここでは en solo = sans accompagnement の意味でとらえ「独りで」と訳してみました。
Dans ma peau をどう訳すか
次に悩んだのが、続く dans ma peau をどう訳せるのかという点でした。
avoir qn/qc dans la peau なら「〜に惚れ込んでいる」の意味。エディット・ピアフにも « Je t’ai dans la peau » という歌がありますね。être bien dans sa peau なら「落ち着いた状態/気分が良い」という意味。ちなみに対義語は être mal dans sa peau です。
20世紀の詩人、アンリ・ミショーは « On n’est pas seul dans sa peau » という詩句を生みましたが、もしかしたらこのような詩作品からインスピレーションをうけているのかもしれません。
その他のフランス語表現
mélo は男性名詞または形容詞で「メロドラマ(風の)」を意味するのかな。省略しなければ mélodrame (形容詞は mélodramatique) と綴ります。
draguer は話し言葉で「ナンパする」の意味。ただ、ちょっと直接的過ぎるので、似たような意味の choper という語を使ったほうが良いよ〜と言われたことがあります。
un point c’est tout. という最後の表現は、「これでおしまい」「もう言うことはないです」「もう自分の考えは変えませんよ」という風に使いますね。point とは日本語の句点、つまり « 。 » です。ピリオドを打つという感じでしょうか。
alter と mégot が歌の中で並び alter-ego ならぬ alter-mégot になっている等、言葉遊びが面白いですね。
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