ロシア一有名なお菓子?メドヴィク(Medovik)
- 2022/08/11
- お菓子史
Bonjour !パリパリマセマセのほーしーです!
先日手作りのケークサレを抱えて友人のお誕生日ピクニックに参加したときのこと。みんなが持ち寄ったこれまたお手製のキャロットケーキや定番のチップス、ワイン、ビールの中心に、ひと際おいしそうな手作りケーキを発見。キャラメル色の生地に白いクリームがサンドされ、表面にはそのビスキュイのクラム(くず)らしきものがかかった大きいケーキ。その日の主役であるカナダ系ブラジル人の友人が作ったのかと思い聞いてみると、それは彼女の彼氏であるロシア人の友人が作ったものでした。
ロシアの郷土菓子メドヴィク(Medovik)
「美味しそうだねぇ!」
主役を差し置いて、職業病といえば聞こえの良い、ただの食い意地が働きそういうと、
「これはメドヴィク(Medovik)というケーキで母さんのレシピなんだ!」と返す彼。
ふんわりとしてどこかほろ苦いキャラメル風味の生地は香り豊かな蜂蜜のそれで、間に挟まったクリームは酸味と塩気の効いたチーズクリーム。ところどころ挟まったクルミが触感のアクセントになって、シンプルだけれど、バランスが取れて洗練されたお菓子でした。その美味しさにお代わりを要求する人多数!笑
メドヴィク(Medovik)の歴史
メドヴィクの名前の由来はその材料“蜂蜜”のロシア語“メドヴィィ”から。その歴史を仏語と日本語でネットで調べてみたのですが、どうやらその起源はヨーロッパの帝国時代、19世紀のロシア帝国の首都サン・ペトラスブルグの王宮で間違いないよう。皇帝アレクサンドル一世(在位1801~1825)の妻、エリザベートは蜂蜜が大嫌いで、宮廷料理人たちは彼女に捧ぐすべての料理に使用が禁じられていました。ところがある日、そのことを知らない若いパティシエがデザートを担当することに!そうして出来上がったメドヴィクですが、なんと材料を知らずそのまま食べてしまった皇妃は気分を悪くするどころかこのお菓子のとりこに!!!それ以来、メドヴィクはエリザベートの一番のお気に入りになったそうです。
(当時ロマノフ王宮では料理やデザートの説明をしなかったんですね!エリザベートがアレルギーだったわけではなくて本当に良かった(*_*;!!!)
また余談ですが、実は皇妃エリザベートはドイツ出身。もしかすると、この幾層にもなったメドヴィクはバームクーヘンの様な、どこかドイツ菓子の様な趣をロシア菓子に取り入れようとしたエリザベートの提案だったのかもしれません。
メドヴィク(Medovik)のレシピ
今日、様々なレシピで作られているメドヴィク。私の友人が作ってくれたメドヴィクは、柔らかいスポンジが三段でしたが、ポピュラーなレシピには8枚の蜂蜜入りサブレ生地で、それが程よくクリームの水分を吸って切りやすくなるまで寝かせなければならないというものもあります。またそのクリームも、カスタードクリームやバタークリームなど様々!オリジナルにつながる文献には出会えていないので、エリザベートが食べたメドヴィクのレシピは分かりませんが、それらに共通するメドヴィクがメドヴィクたる必要条件は蜂蜜が使われていること(^^)!
まとめ
いかがだったでしょうか。ロシアのお菓子は日本ではあまり馴染みがないですが、このメドヴィクは、ロシア帝国ロマノフ王朝が20世紀初頭の革命で滅びて100年たつ今もなお、サン・ペトラスブルクやモスクワのパン屋さんで必ずと言っていいほど見かけるお菓子だそう。社会や政治が混乱するときでさえ人の垣根を越えて楽しまれるのがお菓子。いつか日本にもこのお菓子が広まればいいなぁと思っています。
それでは、また次回!
A bientôt !!
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